2021 Fiscal Year Annual Research Report
フォトアクチベーションを応用した変形性顎関節症治療法の探索と下顎頭吸収機序の解明
Project/Area Number |
20K18759
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
郡司 秀美 広島大学, 医系科学研究科(歯), 専門研究員 (80806688)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 半導体レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
変形性顎関節症は、関節軟骨の破壊を初期病変とする退行性疾患であり、治療が困難な疾患である。下顎頭の進行性吸収による関節機能障害に加えて、重篤な開咬や顎偏位および顔面変形が引き起こされ、矯正歯科治療をより複雑にすることになる。しかしながら、顎関節症の治療法は主に対症療法である。そのため、患者への侵襲性が少なく、有効な治療法の確立が急務である。 近年、医科領域において、レーザーの被照射組織に対する生体活性化作用が報告されている。しかしながら、関節軟骨炎症におけるレーザーが代謝に及ぼす影響やその作用機序には不明な点が多く、詳細な検討を行った報告は認められない。本研究では、コールドレーザーを用いて、ヒト培養軟骨細胞に対するレーザー照射の抗炎症作用へ及ぼす影響について検討するとともに、その作用機序を明らかにすることとした。 その結果、コールドレーザーは、ヒト培養軟骨細胞に対して、基質合成能に影響を及ぼすことが明らかとなった。また、実験高周波近赤外線半導体レーザー照射はヒト培養軟骨細胞において、IL-1βの添加により誘導された炎症性サイトカインおよびマトリックスメタロプロテアーゼの発現を抑制することが明らかになった。その作用機序として、NF-κBシグナル伝達経路を介することが示唆された。 以上の結果より、初期の変形性顎関節症の炎症を整除しうる手段として、高周波近赤外線半導体レーザーが有効となる可能性が示唆された。
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[Journal Article] High-frequency near-infrared diode laser irradiation suppresses IL-1β-induced inflammatory cytokine expression and NF-κB signaling pathways in human primary chondrocytes.2022
Author(s)
Sakata S., Kunimastu R., Tsuka Y., Nakatani S., Gunji H., Yanoshita M., Kado I., Ito S., Putranti NAR., RC Prasetya., Hirose N., Tanimoto K.
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Journal Title
Lasers Medical Science.
Volume: 37
Pages: 1193-1201
DOI
Peer Reviewed / Open Access