2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K18766
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
伴 祐輔 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (60827294)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 上顎急速拡大 / 鼻腔通気障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive Sleep Apnea Syndrome:OSAS)の治療方法として扁桃切除や外科手術などが主に行われている。上顎急速拡大(RME)はその副次的効果として鼻腔通気障害を改善することが報告されているが、RMEによる鼻腔通気障害の改善効果については否定的な報告もあり、現在のところ、その効果については十分なコンセンサスが得られているとはいえなかった。その理由に、これまで行われた研究では拡大量、拡大装置の種類など、拡大方法が異なっていたことに加え、鼻粘膜肥厚、鼻中隔湾曲、咽頭扁桃肥大など症例に起因する要因が影響している可能性も考えられるが、それらを明らかにする報告はなく、RMEがもたらす鼻腔通気障害の改善効果を明らかにすることが求められていた。 本研究ではRMEを使用した患者の治療前後のCBCTデータから3次元解析モデルを作成し、上気道流体シミュ―レーションを行い、気道内部の最大圧力、速度、鼻腔抵抗値の変動について検証した。患者は鼻粘膜肥厚群、アデノイド肥大を認めるアデノイド群、両者に問題のない健常群に分類し、解析した。RME治療前後の鼻腔通気状態は鼻粘膜肥厚群、アデノイド群に対して健常群において有意な改善を認めた。このことは、鼻腔粘膜や咽頭扁桃に問題ない患者において上顎急速拡大は鼻腔通気状態を改善が期待できることを示唆している。逆に鼻腔粘膜肥厚やアデノイドを認める症例においては上顎急速拡大のみでは鼻腔通気障害の改善がなされない可能性があることを示唆している。 今後は検討項目を追加し、OSASの有効な治療方法に活用できるデータを示し、確実な治療方法に寄与できる結果を求めて研究を継続する予定である。
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Research Products
(1 results)