2020 Fiscal Year Research-status Report
矯正治療による歯根吸収とセメント芽細胞のアポトーシスとWntシグナルの関連性
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20K18767
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小林 友香里 (湊友香里) 日本大学, 松戸歯学部, 専修医 (60822864)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歯科矯正学 / 歯根吸収 / アポトーシス / Wntシグナル / セメント芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は矯正治療時の歯根吸収の発生因子であるWntシグナル伝達とOPG-RANKL-RANKシグナル伝達システムおよびアポトーシス活性との関連性であった。 研究実施計画は、令和2年度において、ラットを用いた実験的歯根吸収モデルにて、セメント芽細胞のWntシグナルとOPG-RANKL-RANKシグナル伝達システムおよびアポトーシス因子の発現を観察し、その関連性について検討することであった。具体的には、ラットを用いた実験的歯根吸収モデルにおいてラットの臼歯へ強い矯正力と至適矯正力を負荷し、アポトーシス因子、歯根吸収因子およびWntシグナル因子をTUNEL法および免疫組織化学染色法でCaspase3、Caspase8、RANK、RANKL、OPG、Wnt7aの発現をセメント芽細胞の動態に着目し比較検討することであった。令和2年度では、ラットを用いた実験的歯根吸収モデルにて歯の移動を各1、3、5、7日間行い、切片を作成した。HE染色にて強い矯正力にて歯根吸収を確認した。免疫組織化学染色法にて吸収窩にRANK陽性細胞、RANKL陽性細胞が認められた。また、歯根吸収発生以前にCaspase3陽性細胞、Caspase8陽性細胞が発現する傾向が認められた。さらに、Wntシグナル因子の発現の動態を確認できれば、本研究によって、矯正治療中に生じる歯根吸収の発生に関係しているOPG-RANKL-RANKシグナル伝達とアポトーシス活性の双方にWntシグナル伝達が深く関係していることを解明でき、矯正治療中に歯根吸収が発生しても、そのシグナル経路をコントロールすることで歯根吸収の増悪を抑制できることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HE染色にて実験的歯根吸収モデルでの組織学的な動態の変化を確認でき、強い矯正力にて歯根吸収を確認した。免疫組織化学染色法にて吸収窩にてRANK陽性細胞、RANKL陽性細胞が認められた。また、歯根吸収発生以前にCaspase3陽性細胞、Caspase8陽性細胞が発現する傾向が認められた。しかし、Wntシグナル因子の発現の動態を未だ確認できていない。また、発現の傾向は認められたが、具体的な発現の優位な増加の有無を確認できていないため。そして、TUNEL法による染色が未だに行えていないため。 また、本研究において学会発表や論文の掲載等、研究の成果を発表するまでに至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
ラットを用いた実験的歯根吸収モデルにおいてのTUNEL法による染色と免疫組織化学染色法によるWntシグナル因子の発現の動態を比較検討する。 ヒトセメント芽細胞様細胞を培養しに強い圧迫力と至適圧迫力を加え、Caspase3、Caspase8、RANK、RANKL、OPG、Wnt7aの産生量と遺伝子発現量について比較検討する。 HCEMにWnt7aを抑制するSFRP4を添加し圧迫力を加え、OPG-RANKL-RANKシグナル伝達の活性とアポトーシスの活性を検討する。また、ヒトセメント芽細胞にGSK3阻害剤を添加し圧迫力を加え、OPG-RANKL-RANKシグナル伝達とアポトーシスが抑制されるか検討する。 そして、本研究について、日本矯正歯科学会への発表、Journal of Dental Research、Bone、Oral Diseasesへの論文発表等、研究成果の発表のための準備を遂行する。
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Causes of Carryover |
免疫組織化学染色に用いる抗体が安価で購入できた。また、HE染色、免疫組織化学染色の両方に必要なエタノール等の材料はは既存のものを使用し対応できたため残額発生が生じた。引き続き次年度でもラットを用いた実験的歯根吸収モデルにおいてのTUNEL法による染色と免疫組織化学染色法によるWntシグナル因子の発現の動態を比較検討する必要がある。また、アポトーシス因子の発現についても、陽性細胞の優位な増加の有無をさらに比較検討する必要がある。そのためには、、さらなるラットの搬入と染色における材料の購入が必要となる。また、本研究について学会発表や論文の投稿等、研究の成果を発表するための準備を引き続き行う必要がある。次年度では、ヒトセメント芽細胞様細胞を培養しに強い圧迫力と至適圧迫力を加え、Caspase3、Caspase8、RANK、RANKL、OPG、Wnt7aの産生量と遺伝子発現量について比較検討する。
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