2021 Fiscal Year Research-status Report
歯胚間葉でのFoxc1の機能と分子制御解明-iPS細胞を用いた歯胚発生への応用-
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20K18775
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 倫子 東北大学, 歯学研究科, 助教 (80746818)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Foxc1 / 歯胚発生 / iPS |
Outline of Annual Research Achievements |
常染色体優性遺伝性疾患Axenfeld-Rieger症候群(ARS)は、緑内障や無虹彩など眼の異常を主症状とし、その他に歯の先天欠如や矮小歯・タウロドント歯などの歯の形態異常が認められる。ARSの原因遺伝子としてFoxc1が知られている。そのため、Foxc1の遺伝子異常が、ARSにおける歯の発生異常を誘導すると推察されるが、歯の発生におけるFoxc1の発現、機能、および分子制御は不明である。代表者は、過去にFoxc1がヘッジホッグのシグナル伝達分子Gli2と物理的に結合し、PTHrPの発現を促すことにより、内軟骨性骨化を制御することを見出した。加えて、マウス初代軟骨細胞において、Foxc1によるPTHrP発現制御にエピジェネティクスが関与することを明らかにした。さらに、Gli2の異常により矮小歯や癒合歯を呈し、歯の発生過程における形態および位置異常が認められることが知られている。これらの知見から代表者は、歯性細胞で発現するFoxc1がGli2と相互関係を持ち、正常な歯の発生に寄与すると仮説を立てた。一方、代表者が所属するグループは、マウスiPS細胞由来歯性細胞の樹立に成功したが、この細胞を用いた歯胚発生には至っていない。そこで、本研究の目的は、歯の発生過程における歯性細胞でのFoxc1の機能と分子メカニズムを解明し、得られる知見に基づいて、Foxc1をiPS細胞から歯胚発生能をもつ歯性細胞の樹立に応用することである。本研究により、未だ全容の明らかでない先天性の歯の発生異常の病因解明につながることが期待されるとともに、歯の再生に必要なiPS細胞由来の細胞シーズの獲得実現が期待される。本年度は、昨年度に引き続きマウス歯胚の歯性細胞におけるFoxc1の機能解析を行った。野生型マウスの臼歯歯胚から歯性細胞を単離し、この細胞にFoxc1の過剰発現・ノックダウンを行い、歯性間葉細胞マーカーや象牙芽細胞マーカーの発現解析、BrdU染色とTUNEL染色による増殖とアポトーシスの解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定よりもiPS細胞由来歯性細胞樹立の開始時期が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス歯胚歯性細胞におけるFoxc1の機能解析を継続的に行い、iPS細胞由来歯性細胞の樹立及び歯胚発生能の解析を行う。
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Causes of Carryover |
iPS細胞由来歯性細胞の樹立を次年度に行うことになったため、次年度使用が生じた。令和4年度に、iPS細胞の樹立の準備を進めていく計画である。
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