2020 Fiscal Year Research-status Report
アメロブラスチンによる破歯細胞活性の抑制メカニズムの解明と歯根吸収への治療応用
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20K18782
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大西 梓 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (90846883)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歯根吸収 / 矯正歯科治療 / エナメルタンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
矯正歯科治療中の歯の移動によって、しばしば根尖部に歯根吸収が生じる。本研究は、歯の萌出後も歯根の表面にわずかに存在するエナメル上皮細胞およびエナメル上皮細胞より分泌されるエナメルタンパクの一つであるアメロブラスチン(Ambn)に着目し、歯根吸収に及ぼす役割の解明を目的としている。歯根吸収の主体となる破骨(歯)細胞へAmbnが及ぼす影響を検証することにより、究極的には歯根吸収の発症機序の解明および治療法の確立への足掛かりとなる。初年度は以下の研究を行った。 1、エナメル上皮細胞のニッチであるラット下顎切歯根尖のcervical loopより上皮細胞を含む組織を回収し、その細胞集団から上皮細胞のみを選択的に増殖させることが可能な培養条件の検討を行った。得られた細胞を用いてRT-PCRおよびwestern boltを行い、エナメル上皮細胞に特異的な遺伝子およびタンパクの発現を確認した。 2、ラット骨髄由来細胞をM-CSFおよびRANKLを添加した培地で破骨(歯)細胞への分化培養を行った。得られた細胞を用いてRT-PCRおよびwestern boltを行い、破骨(歯)細胞に特異的な遺伝子およびタンパクの発現を確認した。 3、1に記載したエナメル上皮細胞の培養条件の検討に時間を要し、リコンビナントAmbnの作製に着手できなかったため、当科で使用実績のあるアメロゲニン(Amg)のリコンビナントタンパクの作製を並行して進めている。Amgは代表的なエナメルタンパクであり、今後作製予定のリコンビナントAmbnが及ぼす影響と比較検討のために使用する。 次年度は上記1・2の細胞の共培養系における細胞相互作用の検討および、リコンビナントAmbnの作製を行い、in vitroおよびin vivoにおけるAmbnの添加実験にてさらなる検証を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エナメル芽細胞はラットの下顎切歯根尖のcervical loopより採取しているが、cervical loop周囲には目的とするエナメル芽細胞(上皮細胞)以外に歯髄細胞や歯根膜細胞などの間葉系細胞が混在しており、上皮細胞のみを選択的に維持培養する方法の検討に時間を要した。その結果としてリコンビナントAmbn作製が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、可及的速やかにリコンビナントAmbnを作製し、研究に使用する。具体的にはin vitro実験系において培養液にリコンビナント蛋白を添加して破骨(歯)細胞の増殖および分化に及ぼす影響を検討する。また、in vivo実験系において、ラット歯根吸収モデルで再現した歯根吸収にリコンビナントAmbnを局所投与し、吸収窩の修復あるいは吸収抑制作用について検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初の実験計画と比較してリコンビナントタンパクの精製の進捗が遅れているため、次年度使用額として計上した。
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