2020 Fiscal Year Research-status Report
ANGPTL2のMMPs誘導能による軟骨破壊メカニズムの解明とPCR治療への応用
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20K18783
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高野 真実 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (40846846)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ANGPTL2 / 軟骨細胞 / inflammation / JAK-STAT / PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度では in vitro実験系にて、ANGPTL2の添加が軟骨細胞に及ぼす影響について検討を行ったが、ヒト軟骨細胞の培養に難航し、結果を得ることができなかったため、滑膜細胞にて検討を行った。ANGPTL2の添加により、炎症性サイトカイン(IL-1β, TNF-α, COX-2)、細胞外基質分解酵素(MMP3およびMMP13)について定量PCRによる遺伝子解析およびwestern blot解析を行ったところ、全ての炎症性サイトカインおよび細胞外基質分解酵素において有意な発現の亢進を認めた。また、その時に活性化されるシグナル伝達経路(FAK, ERK, Akt, NF-κBおよびJAK)についても定量western blot解析にて発現の亢進が確認された。ANGPTL2の滑膜細胞におけるJAK/STATシグナル伝達経路の解析のためLILRB2中和抗体およびIntegrinα5β1中和抗体を添加し、検討を行ったところ、LILRB2中和抗体ではJAK1およびJAK2の発現の抑制が認められた。また、Integrinα5β1中和抗体では、JAK1の発現の抑制が認められた。 in vivo実験においては、13週齢Wister系顎関節症モデルラットを用いてANGPTL2および細胞外基質分解酵素タンパクの下顎頭軟骨における発現を確認するため、免疫染色を行った。下顎頭への咬合挙上装置による過度な圧迫によって、下顎頭軟骨でのANGPTL2の発現および受容体の発現は有意に亢進していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度ではANGPTL2の添加が滑膜細胞へ及ぼす影響について検討を行い、炎症性サイトカインおよび細胞外基質分解酵素の発現およびシグナル伝達経路の検討まで結果を得ることが出来たため、実験計画の通りに検討が進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらなる検証を重ね、ラット顎関節症モデルを用いたin vivo系の実験により、ANGPTL2阻害剤の軟骨保護効果について検証する予定である。
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Causes of Carryover |
旅費が予定より少ない金額で済んだため。 次年度はin vivo実験の進行の遅れがあるため、物品費として使用する。
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