2022 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素暴露したヒト歯根膜由来細胞でのC/EBPβ発現制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K18792
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石山 未紗 日本大学, 歯学部, 助教 (80732502)
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Project Period (FY) |
2021-02-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歯根膜細胞 / 低酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯の外傷では、受傷歯の歯根膜組織や周囲の歯槽骨の損傷を生じることが多い。外傷による歯根膜組織での局所的な循環障害により、歯根膜を構成する細胞は一定の期間、低酸素状態におかれる。しかし外傷後の治癒過程は複雑で、低酸素環境に暴露に対する歯根膜細胞の遺伝子発現応答について、その後の酸素化がどのように影響するのかは明らかではない。そこで今回、ヒト乳歯由来の株化歯根膜細胞(SH9)を用いて、低酸素暴露時と低酸素暴露後に酸素化を行った時の血管新生や細胞増殖に関わる遺伝子の発現について検討した。 SH9を使用し、10%FBS添加αMEM培地とし、95%大気、5%CO2、37℃の条件で培養を行いControl群とした。低酸素群はO2濃度を1%、CO2濃度を5%として24時間培養を行った。再酸素化群は、前述の低酸素化で24時間培養した後に、95%大気、5%CO2で24時間あるいは48時間培養を行った。各条件で培養したSH9について、CREB、SETD8、angiogenin(ANG)、VEGFのmRNA発現量をRT-qPCR法で測定した。 CREB、SETD8のmRNA発現量は、Control群に比べ低酸素暴露群で有意に減少し、24時間の再酸素化後は通常環境での発現レベルまで回復した。ANG、VEGFのmRNA発現量は共に低酸素暴露でControl群に比べ有意に増加したが、ANGは24時間後の再酸素化後に一旦減少したのち48時間後に通常の発現レベルまで回復した。一方、VEGFのmRNA発現量は、24時間の再酸素化により通常のレベルまで戻ったが、48時間後にはさらに増加を認めた。 ANGとVEGFはともに血管新生に関わる遺伝子であり、低酸素環境で発現量が増加することが知られているが、再酸素化後の変動パターンは異なることがわかった。
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