2023 Fiscal Year Annual Research Report
在宅歯科医療推進に関する科学的根拠構築のための研究
Project/Area Number |
20K18813
|
Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
田中 公美 (五十嵐公美) 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (40847612)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 在宅歯科医療 / 歯科訪問診療 / 在宅療養高齢者 / 要介護高齢者 / 口腔機能 / 生活機能 / 摂食嚥下機能 / 転帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、医科訪問診療が開始された高齢者における、①口腔内環境の実態、②歯科医療介入の効果、③転帰との関連を把握することを目的とした。課題①口腔内環境の実態を示す。93名に対して口腔内評価、生活機能評価を行った。その結果、約7割に要抜去歯が存在し、介護重症度によらず口腔内環境は不良であることが明らかになった。また、口腔清掃が要介助であること、精神状態の不良さ(認知症やうつ状態)は口腔内環境を悪化させる一因であった。 課題②歯科医療介入の結果を示す。72名に歯科訪問診療を行った。行われた治療内容は、口腔ケア、摂食嚥下リハビリテーション、抜歯、義歯治療、う蝕治療・修復治療の順であった。継続できた49名においては、要抜去歯の割合やOHATの合計点が低下した。 ③転帰との関連について示す。72名のうち、15名が死亡、4名が施設入所、4名が入院し、半年間で23名が継続不可能となった。事象発生までの日数は平均76.9±47.2日であった。継続不可能にさせる因子として、ADLや栄養状態の低下、うがいの可否が抽出され、OHATの下位項目の「舌」もその傾向があることが示された。 本課題の遂行により、在宅療養高齢者における口腔内の実態把握、治療効果の発信、転帰との関連を抽出できたことは意義があり、歯科訪問診療推進のための科学的根拠構築に寄与する結果であるといえる。 しかしながら、人数の少なさ、選択バイアスの影響が研究限界であり、正確な実態把握には組織化した歯科介入、ならびに調査が必要である。
|
Research Products
(11 results)