2021 Fiscal Year Research-status Report
唾液バイオマーカーの新規開発による低侵襲かつ簡便な認知症評価指標の確立
Project/Area Number |
20K18814
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
川西 範繁 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教 (20848733)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症 / 軽度認知障害 / メタボローム解析 / 安静時唾液 / 刺激時唾液 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症は個人だけでなく社会的な問題として注目されている。軽度の段階では診断が難し く新たな診断指標の確立が必要であることから、認知症に関連する分 子マーカーを探索する。 介護現場での利用を想定して侵襲性の低い検体が望ましく、本研究では唾液検体を扱う。 健常者との唾液代謝物質の差異を確認し、認知機能に影響する可能性のある唾液 代謝物質の特定を行う。認知症、軽度認知障害(MCI)は、神奈川歯科大学附属病院 の認知症・高齢者総合内科『もの忘れ外来』において認知症専門医(眞鍋雄太医師)による診断のもと分類した。対象者は、65歳以上 とし安静時唾液は吐唾法、 咀嚼刺激唾液ではガム法を用いて採取を実施した。健常者および認知症と診断された方、軽度認知障害に対し認知症診断テスト(MoCA-J:Japanese version of MoCA)によるスクリーニングも行なっている。現在は健常者(25名)と 認知症と診断された方 (33名)、軽度認知障害と診断された方(24名)から唾液の採取を行なっており、採取した唾液サンプルの解析を行なっている状態である。 本研究における咀嚼と認知機能との関連性では咀嚼刺激による唾液代謝物質を従来の唾液採取法に加え実施していくことで、現在までに得られている認知症などに関連する唾液代謝物質だけでなく、咀嚼と共に関連する代謝物が解明できる可能性がある。これらの効果は、認知症患者本人にだけではなく家族、患者を取り巻く社会全体に大きな影響を示す可能性がある。これは今後も進むと推測される超高齢社会に対しての意義は 大きいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの蔓延により、被験者となる患者の来院が当初の予定より少なくなっている。しかし、健常者及び認知症、軽度認知障害と診断されたものより唾液の採取は継続して行われており今後更なる解析も予定できている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、健常者群および認知症と診断された方、軽度認知障害に対する唾液サンプリングを実施する。 認知症と診断された方に関しては、詳細な分類が必要と判断されるため、分類ごとのサンプル数を今後増やしていく予定である。 本研究は、唾液を扱うため、申請者の過去の報告から推測して個人差が大きく反映される 可能性が高いと予想される。唾液採取にあたり唾液量の測定も同時に 実施している。唾液濃度を反映する物質を探して濃淡をキャンセルしたり、分泌量で補正し て成分濃度でなく成分分泌速度を計算したりするなど、柔軟な対応をとる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス蔓延に伴い、学会発表がオンライン開催となり学会参加の旅費を計上していたため次年度への使用額が生じた結果となった。また、研究実施開始時期に変更が生じたため、論文制作に遅れが生じており論文投稿料が次年度使用額の増額とつながった。予定数の解析を実施できていないため 予定されていた消耗品が支出として算出できていない。 現在は、研究実施が継続をして行われており、学会発表および論文発表に際する支出、採取現場における消耗品等、解析実施施設等との打ち合わせに必要な旅費が予定される。
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