2020 Fiscal Year Research-status Report
歯科恐怖症の発症機序解明と病型分類:感覚処理パターンに注目して
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20K18817
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
小川 美香 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (50846417)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歯科恐怖症 / 感覚処理パターン / Dental anxiety / Dental fear / Sensory processing / SEM |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科恐怖度と感覚処理パターンおよび歯科恐怖に関連する心理的因子の関係を検討するため、インターネット上でモニターを募集し、240名にアンケート用紙を配布し213名より有効回答を得た。歯科恐怖度、感覚処理パターン、無感情症傾向、破局的思考をそれぞれ、日本語版Modified Dental Anxiety Scale(MDAS), 日本語版20-item Tronto Alexithymia Scale, 日本語版Pain Catastrophizing Scaleで評価した。そのほかに年齢、性別、最終学歴、負の歯科治療経験の有無、自己評価の口腔内状況のデータも取得した。 213名のうち25名がMDAS値19点以上の高い歯科恐怖を示した。共分散構造分析の結果、感覚処理パターンと破局的思考は直接的に歯科恐怖度と関連していたが、無感情症傾向は感覚処理パターンと破局的思考を介して間接的に歯科恐怖度に関連していることが示唆された。 続いて213名の感覚処理パターンを階層クラスタ分析によってグループ分けしたところ、感覚探求型、平均型、低感覚処理型、低登録+感覚過敏+感覚回避型の4つのグループに分けられた。このうち低登録+感覚過敏+感覚回避型は他の3つの型にくらべて有意に歯科恐怖度が高かった。さらに低登録+感覚過敏+感覚回避型は低歯科恐怖群188名のうち28名(14.9%)、高歯科恐怖群25名のうち12名(48.0%)と高歯科恐怖群で有意に多かった。 以上により感覚処理パターンは直接的にかつ間接的に歯科恐怖に関連することが示唆された。 今後は痛みに対する不安(fear of pain)と歯科恐怖、感覚処理パターンの関連を検討するため、まずfear of pain questionnaireの日本語訳を作成しその信頼性・妥当性を検討予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染症の流行により、当初予定していた福岡県内の大学生にアンケート調査を行うことができなくなった。しかしインターネットモニターにアンケートに参加を依頼し、予定通り調査の実施を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度のアンケート調査で、感覚処理パターンは歯科恐怖に関連する心理的因子の影響を調整しても、歯科恐怖に関連することが示唆された。今後はこれらの関連に性別による違いがないか確認するため、多母集団同時分析を行う予定である。
そのために約200名を対象に追加の調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の流行により、参加予定であった国内及び国外の学術大会が中止になったため、旅費が次年度使用額として発生した。次年度にはオンラインでの学術大会が多数開催されるため研究結果を発表するとともに、アンケート調査をオンラインで行うための予算として使用する予定である。
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