2022 Fiscal Year Research-status Report
在宅療養する医療的ケア児の口腔に存在するリスク評価と新たな口腔管理システムの開発
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20K18818
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高井 理人 北海道大学, 歯学研究院, 専門研究員 (80825513)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小児在宅歯科医療 / 小児在宅医療 / 医療的ケア児 / 歯科訪問診療 / 重症心身障害児 / 口腔ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
人工呼吸器や経管栄養など、日常的に高度な医療を必要とする「医療的ケア児」を対象とした小児在宅歯科医療は、ニーズが増加しているものの、まだ広く普及していない。小児在宅歯科医療のエビデンス構築と在宅での口腔管理システムの開発を目的とした調査研究を継続している。 今年度は、18トリソミー児12名(男児3名、女児9名)を対象として、在宅歯科医療の実態について調査を行った。在宅移行時の平均年齢は7.2か月であり、歯科初診時の平均年齢は18.7か月であった。医療的ケアは、人工呼吸器11名、在宅酸素12名、気管切開3名、吸引11名、経管栄養10名であった。初診時の嚥下機能は、唾液嚥下困難2名、唾液嚥下ほぼ可能8名、全量経口摂取2名であった。主訴は、口腔ケアに関する内容7名、摂食嚥下に関する内容5名であった。介入期間は、1年未満4名、1年以上2年未満4名、2年以上3年未満2名、3年以上2名であり、介入内容は、口腔衛生管理12名、摂食機能療法9名、歯科処置(歯石除去、シーラント、抜歯等)5名であった。転帰は、継続8名、死亡4名であった。歯科訪問診療は、在宅移行後一定の期間を経て開始されており、在宅生活が落ち着き、歯の萌出等をきっかけに歯科につながった児が多いと推察された。今回調査した18トリソミー児のうち30%が死亡転帰であった。在宅移行後の18トリソミーの生命予後の予測は困難であり、歯科的介入の選択は医科主治医等と連携しながら慎重に判断する必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小児在宅医療で出会う機会の多い18トリソミー児の歯科訪問診療について検討し、学会発表を行った。口腔内のリスク因子の検討のため、引き続き調査を継続する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き医療的ケア児の口腔内のリスク因子について検討する。COVID-19の影響によるキャンセルは一定数発生しているが、解析に必要な症例数は確保できると考えている。口腔管理システムのまとめと論文投稿のために研究期間を1年間延長して対応する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた旅費の計上がCOVID-19の影響により支出されなかったため。翌年度に旅費および論文投稿費として計上予定である。
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Research Products
(3 results)