2023 Fiscal Year Research-status Report
食事時のムセ・咳嗽音の回数測定および音響分析による肺炎リスクの判定
Project/Area Number |
20K18826
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤井 菜美 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (90635377)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 嚥下 / 湿性咳嗽 / 乾性咳嗽 / 誤嚥性肺炎 / 自動分類 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】乾性咳嗽は咳受容体の感受性の亢進や気管支平滑筋の収縮によるものであり、咳嗽自体を抑制する治療が必要となる。湿性咳嗽では、気道内分泌物による咳受容体の過剰な刺激によって咳嗽が誘発される。湿性と乾性の判定は重要であることから自動分類システムを作製した。昨年度より改良し、対象人数・咳嗽音数を増やし、評価者を2名にした。 【方法】対象は高齢者122名、男女比は41:81、年齢は65歳~98歳(平均年齢84.9(SD8.3)歳)であった。録音は静かな部屋にて、咳嗽の誘発は咳テストの手技を応用し行った。クエン酸濃度は、通常の咳テストで用いられる1%の溶液を使用し、咳嗽が誘発されない場合は4%の溶液を使用した。咳嗽音は携帯型レコーダーにて、患者の口元から約50㎝程度の距離に位置させて録音した。録音した記録は音声解析ソフトaudacityにて波形に変換し、咳嗽音を1つずつ判定し、手動で区切り抽出した。各被験者あたり1-10の咳嗽音を抽出し、合計631の咳嗽音を1つずつファイルに保存した。20年以上の臨床経験のある呼吸器内科医師2名は咳嗽音を聴覚判定によって湿性・乾性に分類した。 【結果】<咳嗽音の分類結果>呼吸器内科医師1においては、湿性咳嗽84、乾性咳嗽547となり、呼吸器内科医師2においては湿性咳嗽132、乾性咳嗽499となった。判定の一致率は90.81%(κ=0.679)であった。本研究では、医師2名のどちらか1名が湿性咳嗽と判定したもの(判別不可)58、2名とも乾性咳嗽と判定したもの494、2名とも湿性咳嗽と判定したもの79の3グループをデータセットとし、分類システムの構築に使用した。 <判定精度>乾性咳嗽はAUCが0.986、判別不可はAUC 0.980、湿性咳嗽はAUC0.993で判別可能という結果となり、全てのグループにおいて高い精度が示され、昨年度よりも精度が向上した、
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
covid19の感染により、誘発咳嗽音を録音することは、感染リスクが高いことと認知されたため、高齢者施設での研究の許可が得られなかった。covid19の感染状況を見ながらの研究となったため、中断・再開を繰り返した。咳嗽音の自動分類システムの作製が可能であったため、現在そのシステムの改良と論文作成を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年5月にcovid19が五類感染症となり、昨年度よりも警戒態勢は柔軟になってきている。データ採取は、高齢者施設でのデータ採取は一旦終了し、現在は病院で継続しているため、covid19の感染状況に影響を受けず、進めることが可能である。咳嗽音の自動分類システムの改良、論文作成を行っている一方で、同時に乾性・湿性咳嗽を示した対象の持つ特徴について、分析を行っている。
|
Causes of Carryover |
covid19の流行により、研究計画が遅れてしまったことを受け、次年度を最終年度とし、成果発表、論文作成・英文化に向けて予算を残しておいたため。
|