2020 Fiscal Year Research-status Report
口腔細菌フソバクテリウム制御による大腸癌予防法の開発
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20K18831
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
河崎 啓介 山口大学, 医学部附属病院, 診療助教(4日/週) (20869606)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フソバクテリウム・ヌクレアタム / 口腔ケア / ビフィズス菌 / 乳酸菌 / 桿菌 / 歯周ポケット / 大腸癌予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビフィズス菌と乳酸菌と桿菌が混合された(Acidophilus and Bifidus)を粉砕後に白色ワセリンと練和して歯周ポケット内に注入したところ、注入時のFnを100%とすると、注入前のFn は約665%であり、口腔ケアを行いAcidophilus and Bifidus注入時は上記の通り100%であり、注入の4時間後には約34%であり、注入の6時間後においても約40%であり、継続してFn数を減弱させることができた。しかしながら12時間後には約100%~234%であり、Fn数が増加していた。すなわちAcidophilus and Bifidusは12時間の時点では有効性を発現できなかった。一方、Acidophilus and Bifidusを注入しない場合は、口腔ケアによりその4時間後には約20%までFn数を減弱させることができ、Acidophilus and Bifidusよりやや効果的とも考えられたが、注入後6時間後においては約80%であり、Acidophilus and Bifidus注入時と比較して約2倍までFn数は増加しており、12時間後には約120%~234%にまでFn数が増加していた。以上より、Acidophilus and Bifidusを歯周ポケット内に注入することは、Fn数を減弱させるために有効と考えられた。次に、口腔ケアの方法として、ポビドンヨードでの含嗽、モンダミンでの含嗽、歯ブラシによるブラッシング、超音波スケーラーによる歯石・歯垢除去を行い、その直後のFn数を検索したところ、それぞれおよそ10%以下にまでFn数を減弱させていた。すなわち、歯周ポケット内におけるFn数の制御のためには、含嗽剤、洗口剤、歯ブラシによるブラッシングは超音波スケーラーによる歯石・歯垢除去に劣らず効果的であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯科用抗生物質製剤を歯周ポケットに注入しても、フソバクテリウム・ヌクレアタムの菌数は必ずしも減弱しないが、ビフィズス菌と乳酸菌と桿菌の混合された(Acidophilus and Bifidus)を粉砕後に白色ワセリンと練和して歯周ポケット内に注入することで、12時間の制御はできないものの、6時間以上は制御可能なこと、さらに口腔ケアの方法として、歯周ポケット内におけるFn数の制御のためには、含嗽剤(ポビドンヨード)、洗口剤(モンダミン)、歯ブラシによるブラッシングは、超音波スケーラーによる歯石・歯垢除去に劣らず効果的であることをデジタルPCRを用いて確認できた。さらにビフィズス菌と乳酸菌と桿菌の中で効果的なものをスクリーニングするためにフソバクテリウム・ヌクレアタムの嫌気培養の準備が進み、in vitroの系で検討可能な環境が整ってきており、おおむね順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はフソバクテリウム・ヌクレアタム(Fn)の嫌気培養を行うことで、ビフィズス菌と乳酸菌と桿菌のうち、何が最もFnの制御に適しているのかを明らかにし、それぞれの効果発現に必要な濃度や、制御可能な時間も併せて検討したいと考えている。in vitroの系で検討後に、効果的なFnの制御法を絞り込んだ後に、研究代表者の歯周ポケットを対象にして確認を行う予定である。
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Causes of Carryover |
ビフィズス菌と乳酸菌と桿菌の中で効果的なものをスクリーニングするためにフソバクテリウム・ヌクレアタムの嫌気培養の準備が進めることができ、in vitroの系で検討可能な環境が整ってきたが、ビフィズス菌、乳酸菌や桿菌のそれぞれの菌株の購入に時間を要したため、来年度に入手した菌株を用いて、in vitroの系でスクリーニングを予定し、次年度使用額が生じた。
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