2021 Fiscal Year Annual Research Report
口腔細菌フソバクテリウム制御による大腸癌予防法の開発
Project/Area Number |
20K18831
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
河崎 啓介 山口大学, 医学部附属病院, 医学部附属病院・診療助教(4日/週) (20869606)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フソバクテリウム・ヌクレアタム / 大腸癌 / 歯周ポケット / ビフィズス菌 / 乳酸菌 / 桿菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔内の嫌気性菌であるフソバクテリウム・ヌクレアタム(Fn)が大腸癌の発症に関与することが報告されている。そのため歯周ポケットのFnを制御できれば、大腸癌の予防や進展制御につながる可能性がある。ただし、歯科用抗生物質製剤を歯周ポケットに注入しても、Fnの菌数は必ずしも減弱しない。なお嫌気性菌のビフィズス菌や乳酸菌は、他の嫌気性菌の増殖を抑えることから、ビフィズス菌と乳酸菌と桿菌の混合された(Acidophilus&Bifidus)に注目して、これを歯周ポケット内に注入することで、12時間の制御はできないものの、6時間以上は制御可能なことを確認した。さらに口腔ケアの方法として、歯周ポケット内におけるFn数の制御のためには、含嗽剤、洗口剤、歯ブラシによるブラッシングは超音波スケーラーによる歯石・歯垢除去に劣らず効果的であることを確認できた。さらに嫌気培養系での検討の結果、Acidophilus&Bifidusは、1μg/mlから1pg/mlまでの低濃度でも12時間程度処理できればFnの増殖を減弱可能であったことから、歯周ポケット内に注入することなく、経口摂取にてもFn数を制御できる可能性が示唆された。そこで市販されているメグミルク 恵 ビフィズス菌 SP株 カプセルヨーグルト ドリンクタイプ、明治プロビオヨーグルトR-1、Yakultミルミルをそれぞれ摂取後、Fn数の変化を検索したところ、各市販品を摂取していない場合と顕著な差異を認めなかった。すなわち、歯周ポケット内に低濃度であっても、ビフィズス菌や乳酸菌や桿菌を一定の時間停滞させることが重要であるとが示唆された。生体に害のないビフィズス菌や乳酸菌、桿菌の摂取で歯周ポケットからFn量の減弱が可能であることから、腸管のFn量の制御が実現できる可能性がある。また、この結果として大腸癌の再発や進展制御につながると期待している。
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