2020 Fiscal Year Research-status Report
歯科受診患者の特性による口腔機能低下と身体的フレイルの関連
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20K18832
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
峰元 洋光 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (50769015)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔機能低下症 / 身体的フレイル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,フレイルや要介護に影響を与える可能性があるとされる高齢者の口腔機能の低下に対して,歯科医院で効率的かつ効果的に対応できるようにするために,歯科来院患者の特性によって口腔機能低下を示す各検査項目の状況を調査して特徴を把握し,口腔機能管理を実施すべき患者の状態や状況についての目安となるべき知見を得ることを目的としている。その目的のために,本研究では,多数歯欠損を有する義歯患者と歯周病安定期治療中にある患者について検討する。さらに,口腔機能低下を示す各検査指標がどのようであれば身体的フレイルと関連がより強くなるのかについても検討するものである。 研究初年度は,当院義歯補綴科外来患者83名に対して,各種口腔機能検査,体組成の計測,歩行速度の記録を行った。また、出向先である歯科医院においても,SPT管理中の外来患者約20名に対しても,各種口腔機能検査,体組成の計測を行っている。 出向先の外来患者において,敷地の広さの関係により歩行速度の計測が不可能であった。そのため,口腔機能管理が歯科医院において実施できるようにするための対象患者選択の指標や検査と管理の方策として歩行速度以外のものでも関連がないか検討を重ねていく必要があると考えている。 また,そのほかの事柄に関して言及すると,研究初年度は新型コロナウイルスの影響もあり,学会開催のオンライン化が進んだことにより,多くの学会参加が可能となり,同種の研究をされている先生方と意見交換が可能になり研究を進めていく上での知識の向上につながった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究はおおむね順調に進展しているといえる。比較的順調に検討を加えるべきデータを収集でき,研究初年度において約100名のデータ採取を終えている。 採取されたデータに解析・検討を重ねて,論文投稿を1つ,学会発表を1つ行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は,①各口腔機能計測項目ならびに各身体的計測項目における多数歯欠損患者群と歯周病安定期治療患者群を対比・比較し,患者特性による口腔機能状態と身体的フレイルの特徴あるいは兆候を分析する。②次に,多数歯欠損患者群と歯周病安定期治療患者群のそれぞれにおいて,口腔機能の各評価項目とフレイルに関する身体的評価項目について相関あるいは対応を検討し,口腔機能低下に関連する身体的フレイルの項目を明らかにするとともに,どの種類の口腔機能低下が身体的フレイルにより影響するかの多変量解析を行う。③上記の2つの解析結果から,現在の口腔機能低下症の検査項目のうち,検査すべき項目と略しても良い検査項目を提言するための分析を行い,口腔機能管理が歯科医院において実施できるようにするための対象患者選択の指標や検査と管理の方策を検討することにある。 研究初年度における解析において,口腔機能低下症におけるフレイルとの関連は検討を重ねることが可能であったが,歯周病安定期治療患者群と多数歯欠損患者群との比較検討がなされなかった。その点を研究次年度においては引き続きデータ採取を行いつつ,解析・検討を加えていくことに重きをおいて研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては,被験者に対して謝礼金を計上していたが,口腔機能低下を疑う被験者に対して身体的負担がなく,今後の口腔関連QOL向上につながることが理解していただき協力が得られたことにより経費として必要ではなかったこと,また,知識の向上のための学会参加,勉強会参加がオンライン化されたことによる計上していた旅費が少額で済んだことがあげられる。 次年度使用額の使用計画としては,研究結果を広く開示するために,当初予定していた発表学会や論文投稿の数を増やすために追加するための費用や,様々な相関関係がないかさらなるデータの比較解析のための費用に計上し,一般社会に広く目に留まるような形にするために使用を計画している。
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