2020 Fiscal Year Research-status Report
緩和ケアを実践する看護師の共感満足と質の高い終末期ケアを両立できる職場環境
Project/Area Number |
20K18842
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
東端 孝博 筑波大学, 附属病院, 病院助教 (60869577)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 看護師 / 共感満足 / 終末期ケア / 職場環境 / 緩和ケア病棟 / 訪問看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、本研究「緩和ケアを実践する看護師の共感満足と質の高い終末期ケアを両立できる職場環境」の具体的な研究計画作成を進めた。本研究の主目的である、両者を両立するために必要な職場環境の因子の探索の他に、副目的として、①一般病棟、緩和ケア病棟、訪問看護に従事する看護師の共感満足の比較、②職場ごとの共感満足と終末期ケアの質の関連の検証、③共感満足に影響を与える職場環境と個人の因子の相互作用の検証、④看護師の共感満足と離職の希望の関連の検証、を設定した。
具体的な調査にあたり、主要評価項目の共感満足の尺度であるProfessional Quality of Life Scale (ProQOL)の日本語版(ProQOL-JN)の作成者である福森氏より同尺度の使用許可を得た。また職場環境因子の評価としては、個人と仕事のミスマッチ領域(仕事の負担、裁量権、報酬、共同体、公平性、価値観)を測定するAreas for Worklife Survey (AWS)の日本語版を用い、AWSに含まれていない項目のうち、人的資源の妥当性、看護師医師関係、周囲のサポート、チームワーク、将来のリスク、会議の質、トレーニングの必要性、死にゆく人に接する頻度を追加で評価する。
本研究が看護師の感情に焦点を当てているため、新型コロナウイルス感染症の蔓延が与える影響についても十分に考慮しなければならない。その反面、感染対策としての接触予防や患者家族の面会制限により、看護師の感情労働に対するニーズが高まっているため、看護師の共感満足、共感疲労、バーンアウトについての理解を進めていくことが益々重要であり、本研究の意義は高いと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染の蔓延のため、当該年度では、調査対象となる医療機関への説明、協力依頼が実施できなかった。当初の予定では、ベースライン時と1年後の2回測定を行う縦断研究を予定していたが、3年間で研究成果を上げることが困難となったことや臨床現場への負担も考慮し、1回測定の横断調査に変更することとした。それにあたり、一般病棟、緩和ケア病棟、在宅の3つの職場で各100名を予定していた必要登録数を各200名へと変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究計画をもとに、調査対象の医療機関に調査を依頼し、倫理審査委員会での承認が得られ次第、看護師への調査を実施する。課題としては、新型コロナウイルスの感染状況次第で調査協力を依頼した医療機関にて調査が予定通り実施できない可能性がある。そのため、調査ができない医療機関を最小限にするため、感染流行期間を避けて調査を実施することが必要と考える。また当初、調査の実施は質問紙の使用を想定していたが、感染対策のため、オンラインでの調査を予定している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、実際の調査が実施できなかったため。また参加予定であった日本緩和医療学会、欧州緩和ケア学会がオンライン開催となり、旅費がかからなかったため。
今後オンラインで調査を実施することを予定しており、その調査費用として次年度の経費に計上する。
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