2021 Fiscal Year Research-status Report
精神科看護師のDark Triad傾向が倫理的行動に及ぼす影響
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20K18861
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
今泉 源 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 助教 (80833855)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 精神科看護 / 倫理的行動 / 道徳的感性 / 倫理的悩み / 倫理的風土 / 看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、歴史的に繰り返されている精神科病院での医療者による非倫理的行動の原因を明らかにすることであり、精神障害者の人権や尊厳を守る事である。令和2年度時点の研究計画では、非倫理的行動を引き起こす可能性のあるパーソナリティとしてDark Triadに着目し、倫理的行動との関連を明らかにすることを目指していた。しかし、研究を進めていくにあたり、看護師の倫理や道徳に関する研究は倫理的行動、道徳的感性、倫理的悩み、倫理的風土など様々な視点から尺度作成や調査が実施されており、多様な見解や結果の非一貫性が見られることが明らかになった。 そこで、本研究では「精神科看護師の倫理的行動」を構造化して理解するために、先行研究で多角的な解釈がなされている「精神科看護師の倫理・道徳」を俯瞰し研究課題の抽出から始める必要があると考え、国内外の精神科看護師を対象とした倫理や道徳に関する文献を再検討し、研究計画の修正や質問紙の作成、研究協力施設の探索など研究実施のための準備を行った。 令和3年度は精神科看護師を対象とした倫理や道徳に関する文献を検討した結果を「精神科看護師の倫理・道徳の測定に関する文献検討」として論文化し投稿した。また、文献検討の結果から精神科看護師の倫理・道徳に関する研究の視点として環境要因に対する知見が不足しているという課題が見出されたため、本研究の焦点を精神科病院の倫理的風土とし、「精神科看護師が認識する倫理的風土に影響を及ぼす要因」をテーマに調査を行うこととした。 精神科看護師の倫理・道徳に関する研究は問題提起に留まっており、有効な介入方法は確立されていない。その背景にはこれまで行われてきている精神科看護師の倫理・道徳に関する研究の関心が看護師の個人要因であることが考えられる。環境要因に着目することにより包括的な介入に繋がり有効な介入方法を確立できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は無記名自記式質問紙を用いた横断研究である。令和3年度当初より質問紙調査の準備を行い11月に所属機関の研究倫理委員会の承諾を得て調査を開始している。 調査の質問紙調査手順を以下に述べる。第一段階として、日本精神科病院協会に加盟している全国の精神科病院からランダムに200施設を抽出し、抽出された施設の看護部長へ施設宛ての研究依頼書・研究許可書・返信用封筒・質問紙の内容サンプル・事前調査票・研究手順書を送付する。看護部長は研究依頼書・質問紙・研究手順書の内容に同意し、研究への協力意志がある場合は研究許可書・事前調査票に署名及び必要事項を記入していただき、返信用封筒にて研究者へ送付していただく。研究許可書にて研究協力への意志が確認できた施設を研究協力施設とする。第二段階として、第一段階で研究協力への意志が確認できた研究協力施設の看護部長に対し、事前調査票の内容を参考に対象者用研究依頼書を必要部数送付する。看護部長は各病棟の病棟長へ質問紙を配布していただき、その後、各病棟の病棟長から研究対象者の条件を満たす者へ質問紙及び研究依頼書を配布していただく。研究対象者は研究に同意する場合、質問紙に回答していただく。回答は質問紙の返信、もしくは表紙に記載されているURLへのアクセス、QRコードをスマートフォン等で読み取りWeb上で回答し送信していただく。 令和3年度は第一段階まで終了し、結果として14施設から研究協力の許諾を頂いた。令和4年度は研究協力施設にて4月から5月末までの期間で質問紙調査を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年、4月から5月末にかけて質問紙調査を行い、その結果を9月頃までにまとめ、年度内に論文化する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は10219円であり、研究費はほぼ計画通り使用できていると考える。
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Research Products
(1 results)