2023 Fiscal Year Annual Research Report
大規模レセプトデータを用いた関節リウマチ治療に伴う悪性腫瘍リスクの明確化
Project/Area Number |
20K18865
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
豕瀬 諒 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (10868152)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メトトレキサート / 生物学的製剤 / 悪性腫瘍 / 悪性リンパ腫 / 関節リウマチ / レセプト / リアルワールドデータ / 保険請求 |
Outline of Annual Research Achievements |
メトトレキサートと生物学的製剤の併用療法は、関節リウマチ治療において推奨されている。これまで、申請者は、有害事象自発報告データを用いた研究により、メトトレキサートと生物学的製剤の併用療法は、メトトレキサート療法に比べて、数種類の悪性腫瘍が発現しやすい可能性を報告した。本研究では、大規模レセプトデータを用いて、これまで申請者が明らかにしたメトトレキサートと生物学的製剤の併用療法と悪性腫瘍との関連を検証するとともに悪性腫瘍の発現時期などを明らかにすることを目的とした。 2023年度は、前年度に投稿した論文について、査読者からの指摘事項に対応し、学術誌において研究成果を公表した(Int J Clin Pharmacol Ther. 2023, 61, 430-436)。研究期間全体を通して、大規模レセプトデータを用いた研究を実施し、メトトレキサート療法あるいはメトトレキサートと生物学的製剤の併用療法を受けた患者は、日本の一般集団に比べて悪性リンパ腫の発現リスクが高いことを明らかにした。また、メトトレキサートと生物学的製剤の併用療法を受けた患者は、メトトレキサート療法を受けた患者に比べて、悪性リンパ腫の発現リスクが高いことを報告した。さらに、メトトレキサートの開始後3~4年は悪性リンパ腫の発現に注意し、モニタリングを強化する必要性を臨床現場に情報提供した。 本研究で得られた結果は、関節リウマチ患者における悪性リンパ腫の早期発見に寄与し、悪性リンパ腫の発現に伴うquality of lifeの低下の防止に繋がると考えられる。また、本研究は、有害事象自発報告データを用いた研究から得られた結果を、大規模レセプトデータを用いた研究で検証したものである。本手法は他の研究にも応用可能であり、臨床薬学研究の発展に寄与すると考えられる。
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