2021 Fiscal Year Research-status Report
地域包括ケアの実践・発展に向けた地域在住高齢者の不適切な多剤処方の適正化
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20K18868
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Research Institution | Institute for Health Economics and Policy, Association for Health Economics Rsearch and Social Insurance and Welfare |
Principal Investigator |
浜田 将太 一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会(医療経済研究機構(研究部)), 研究部, 主席研究員 (80712033)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高齢者 / 薬物療法 / ポリファーマシー / 在宅医療 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
在宅医療を受ける高齢者の薬物治療について、匿名レセプト情報・匿名特定健診等情報データベース(NDB)を用いた検討を行った。2017年9月分のデータ上の約58万人において、平均薬剤種類数は75歳~89歳では約7種類、90歳以上で減少傾向を示した。高齢者に特に慎重な投与を要する薬物(PIM)の処方は半数以上にみられ、頻度の高かったPIMとしては睡眠薬・抗不安薬や利尿薬、次いで抗精神病薬、さらにH2ブロッカーやNSAIDsと続いた。5種類以上の処方と関連する因子としては、年齢、性別、訪問診療の期間、死亡までの期間、居住形態があり、地域差もみられた。
また、在宅医療を受ける高齢者の死亡前1年間の心血管疾患の管理・予防に用いられる薬剤の処方変化に焦点を当てた検討を行った。対象者は約12万人であり、減少率が最も高かったのは脂質異常症治療薬であり、降圧薬や抗血小板薬の減少もみられたが、抗凝固薬にはほとんど変化はみられなかった。対象薬の減少と関連する因子として、年齢や在宅医療の期間が特定され、疾患による違いもみられた。胃瘻患者(胃瘻造設術や経管栄養等に係るサービスにより特定できた患者に限る)では、胃瘻でない患者よりも対象薬の処方頻度は全体的に低かったが、死亡前1年間の処方傾向としては同様の結果がみられた。
さらに、高齢者の入院に伴う機能低下はよく知られている問題であり、地域での連続的な医療提供(薬物治療を含む)を考える場合、入院加療後には入院以前の治療を見直す必要性が生じる可能性がある。そこで、新型コロナウイルス感染症で入院した高齢者を例として検討したところ、入院前のADL低下者は入院中にさらにADLが低下するリスクが高く、入院前後の健康状態の変化に特に注意を要する集団であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、いくつかのサブテーマについては論文発表・投稿まで完了しており順調に進められている。一方、解析は進めたものの論文化に至っていないサブテーマもあるため、年度内に完了できるように引き続き取り組んでいく。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度末時点で投稿中の論文については、2022年度前半に査読対応を行い、研究成果を公表できる予定である。解析は進めたものの論文化に至っていない結果については、内容を精査した上で、2022年度前半に論文投稿まで完了する予定である。
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Causes of Carryover |
論文化が完了していないサブテーマについて、論文の英文校正費等が不要となったことで次年度使用額が生じた。
使用計画としては、論文の英文校正費等の研究成果の発信に充当する予定である。
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