2021 Fiscal Year Research-status Report
ウェアラブルデバイスを用いた医師のストレスや情動状態による医療事故への影響の研究
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20K18893
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
市川 理恵 日本大学, 医学部, 助教 (00826761)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 医療事故 / ヒューマンエラー / 心拍変動解析(HRV) / ウェアラブルデバイス / 医療安全 / インシデント / 感情分析 / 研修医 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウェアラブルデバイスを用いた医師の情動分析とエラーの発生頻度の関係を明らかにするため、2021年度はまず、研究に使用する生体モニタリング機器および情動分析システムを導入し、アンケート調査のためのウェブシステムを構築した。 研究対象者を検討する過程において、初期臨床研修医の医療事故リスクに着目した。日本医療機能評価機構による医療事故情報収集等事業のデータベースを用いて、初期臨床研修医が当事者となった医療事故を抽出し、その発生要因を分析した。経験年数2年未満の医師による事故事例の発生要因は、「確認を怠った」「教育・訓練」「連携ができていなかった」「技術・手技が未熟だった」「知識が不足していた」などが多く、複数の発生要因が影響する事例が多かった。また、診療科の異動も医療事故のリスクの一つと考えられ、多くの診療科をローテートする初期臨床研修医はインシデント・アクシデント発生のリスクが高い状況にあることが明らかになった。この研究成果は2021年10月29日~31日に開催された第59回日本医療・病院管理学会学術総会において「公開データベース上の医療事故報告を用いた研修医のヒューマンエラーの分析」としてweb発表を行った。 初期臨床研修医を研究対象者として、日本大学医学部倫理委員会に研究計画書を提出し、研究の実施承認を得て、9月からデータ収集を開始した。 最終年度は取得したデータの分析を行い、勤務中の医師の情動とヒューマンエラー発生の関係を明らかにし、生体モニタリングが医療安全対策に有効であるか検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題に必要となった個人情報保護に配慮したアンケート用ウェブシステムの導入に時間がかかったが、システムエンジニアの協力を得て、研究参加者が使用しやすいwebアプリを構築することができた。 また本研究は、今まで行われたことのない研究で、勤務中の医師に協力を依頼する必要があるため、研究対象者については十分に検討を重ねた。研究対象者の選定には当初想定していたよりも時間をかけたが、第59回日本医療・病院管理学会における演題発表につながり、本研究の成果の一つとなった。 このように想定より時間がかかった部分もあったが、計画通り、研究参加者の協力によりデータ収集を開始することができた。おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は取得したデータの分析を行う計画であるが、2021年度に収集できた生体データやエラーの記録が想定よりもやや少なかったため、最終年度もデータ収集を継続するか、現在検討中である。 収集したデータを分析し、勤務中の初期臨床研修医の情動状態とヒューマンエラー発生頻度の関係を明らかにする。また、生体モニタリングが医療安全対策に有効であるか検討する。
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Causes of Carryover |
2021年度に予定していた学会がweb開催となったため、旅費が不要となった。また、2021年度はデータ分析に手が回らず、購入予定のソフトウェアや書籍の一部が、最終年度に持ち越しとなった。
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