2023 Fiscal Year Annual Research Report
ウェアラブルデバイスを用いた医師のストレスや情動状態による医療事故への影響の研究
Project/Area Number |
20K18893
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
市川 理恵 日本大学, 医学部, 助教 (00826761)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 医療安全 / 研修医 / ウェアラブルデバイス / ヒューマンエラー / インシデント / 感情分析 / 心拍変動解析(HRV) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ウェアラブルデバイスを用いて勤務中の医師の情動とヒューマンエラーの関連を明らかにすることであった。2021年度に初期臨床研修医30名を対象とし、勤務中に装着したウェアラブルデバイスと、自記式質問票を用いた勤務状況およびヒューマンエラーの記録からデータを収集した。2022年度は、2021年度の研究協力者に再度協力を募り、同一人物における異なる時期での情動やストレスの違いを明らかにする目的で、初期臨床研修医6名のデータを収集した。今年度は収集したデータの分析を行った。内容は下記のとおりである。 「NEC感情分析ソリューション」の感情分析により分類された4感情:HAPPY(喜び/興奮)、ANGRY(ストレス/イライラ)、RELAXED(穏やか/リラックス)、SAD(疲労/憂鬱)の出現割合を用いて、Wilcoxonの符号付順位検定を行い、同一人物における変化について分析した。入職1年目と2年目の比較(対象6名)では、2年目では6例全例でHAPPYの割合が減少し、ANGRYとSADの割合が増加していた。勤務後の疲労感について自記式質問票の回答を分析したところ、入職1年目と2年目で自覚する疲労感に有意差はなかった。 回答のあった合計263勤務分(対象30名)の自記式質問票より、ヒューマンエラーのあった日となかった日について、勤務前の状況および勤務後の疲労感を、カイ2乗検定を用いて比較した。勤務前の睡眠不足・疲労には有意差はなかったが、勤務前の食事の欠食、遅刻、勤務後の身体的疲労感、精神的疲労感については、エラーのあった日の方が有意に多いことが明らかとなった。今後さらに調査対象・調査件数を増やし、経験年数や勤務環境、職種による違いなどの詳細な分析が必要と考えられる。
|