2020 Fiscal Year Research-status Report
筋ジストロフィー患者に対するシーティング・プロセスの確立に向けた実態調査
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20K18895
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
藤田 ひとみ 日本福祉大学, 健康科学部, 助教 (50610010)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 筋ジストロフィー / シーティング / 質問紙調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児期に発症する進行性の筋力低下と筋萎縮を主症状とする筋ジストロフィー(以下,筋ジス)は,根本的な治療が確立されていない難病である.近年の最新治療により,病気の進行を抑制する薬物治療が進む一方,QOLの向上及び成人移行を見すえた体制に関する取り組みが課題となっている.歩行不能期以降に導入する車椅子は筋ジス患者の自立生活を支える福祉機器の一つであり,身体機能に適合した車椅子の提供(以下,シーティング)は医療行為である[2017. 厚生労働省]が,具体的な内容については明らかにされていない.シーティングの手法に関する報告は散見される一方で,具体的な提供プロセスに関する情報は少なく,介入の有効性という疑問は残存している.車椅子を作成する過程において,様々なシーティングに関する科学データや筋ジス患者の価値観がどの程度反映されているのか,を統合し,筋ジスに必要なシーティングがどのように提供されているのか,関わる職種や期間とその内容について紙面調査を実施し,現状を明らかにすることで今後のシーティング・プロセスの確立に向けた課題を明確にすることを目的としている.シーティング・プロセスへの患者の参加を明確にするための最初のステップとして,セラピスト(PT/OT)を対象として調査を実施した.多くのセラピストは臨床経験があり,シーティングに必要な時間の一部を診療報酬として計上していた.患者とその家族,PTの意見の多くがシーティングに取り入れられていることが明らかとなった.詳細な紙面調査の集約は学術誌への投稿中である.また,当初研究計画にあったグループインタビューについては,感染症対策を考慮し,紙面調査から得られた自由記述の質的分析に変更することとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で記述した通り,対面によるグループインタビューは感染対策の側面から方法の変更を検討することとなったため.代替として,質問紙調査から得られた自由記述の内容を質的に分析することで,シーティングを担当しているセラピストの個々の要因に掘り下げた解析を進めていく方針とした.
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた面談からの代替として,質問紙調査から得られた自由記述の内容を質的に分析することとした.シーティングを担当しているセラピストの個々の要因に掘り下げた解析を進めていく方針とした. また,次年度以降に予定している車椅子制作担当者への質問紙調査については,調査対象者の抽出について以下から変更を予定している,福祉用具の選定援助,使用計画の作成等に関して専門的な知識と実務経験を有する者が研修を経て取得する民間資格に関する名簿からの抽出から所属先が記載されている他の名簿を活用することとした.
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Causes of Carryover |
感染症対策の影響で,対面によるインタビュー調査が実施できなかったため,インタビュー関連で予算計上していた助成金に余剰が生じた. 以上のことより,2021年度の使用計画を変更する. 質的&混合法データ分析ソフトウエアの導入(100千円),外部記録媒体(70千円),研究協力者への謝金(100千円),学会参加費・交通費(80千円),英文校正及び学会誌投稿料(250千円),質問紙作成に関するフィールドリサーチ(100千円)
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