2020 Fiscal Year Research-status Report
医療ビックデータを用いた治療待ち期間と医療提供体制の関連についての研究
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20K18898
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐方 信夫 筑波大学, 医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野, 准教授 (60756188)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん / 治療待ち期間 / 医療提供体制 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、まず各がん種の診療ガイドラインに関する調査を行い、乳癌、肺癌等について確定診断のキーとなる検査および標準治療を同定し、入院・外来のセッティングでどのように実施されるのかを検討して、診断確定・標準治療までのモデルを作成した。そのモデルに沿って、再診・病理検査・キーとなる検査および手術の診療報酬上のコードを同定した。 次に、DPCデータを研究協力者より入手して、主病名に対象となる癌の傷病名が入力されており、それに対してFirst Choiceとなる手術が実施されている患者を先の診療報酬上のコードとICDコードにより抽出した。ここで、抽出に利用したものはDPCの入院医療に関するデータだが、確定診断は乳癌などの場合、外来で検査が行われることから、DPC外来データと連結する必要があり、DPCの入院・外来データを各癌腫ごとに連結して、データベースを作成した。その上で、抽出した患者のデータを目視および基礎集計により、参照する予定のデータ欠損割合等を把握した。 現時点では、データベースにおける各癌腫の分析対象者数の集計および確定診断を行った検査の日付、手術日を同定したところである。確定診断の実施日および手術日から、本研究課題のコアとなる「治療待ち期間」が算出できるため、このデータ分析手法が適切であるか、目視による数値のチェックおよびエキスパートオピニオンの聴取を行いつつ、再確認しているところである。これにより、日本の急性期病院の大半における、メジャーな癌腫の治療待ち期間の記述統計が可能となり、これまで不明であった地域差等の分析が可能になる。次年度において、治療待ち期間とと病院の特性・地域特性との関連を分析する予定であり、その延長要因について解明が進められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19感染の流行により、エキスパートオピニオンのヒアリング実施が困難であり、本研究の分析ロジック策定が遅延した。また、本研究のデータはオンサイトでのみ使用可能であるが、同感染流行の対応および自身の接触歴等から、データ分析を行う部屋に訪問することができない時期があり、分析がやや遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度実施した「治療待ち期間」の算出が適切であることを確認し、数値を確定した後、日本全国の急性期病院におけるメジャーな癌腫の治療待ち期間の平均値、中央値など記述統計で示し、病院単位、都道府県単位、2次医療圏単位での集計を行う。これより、まず地域差の分析を行い、次に算出した治療待ち期間とと病院の特性・地域特性との関連を分析する予定である。また、COVID-19の流行により、病院でのカルテ調査は困難と考えられるため、専門家へのヒアリングを実施して、分析により得られた結果と臨床実感の相違や分析で含めなかった要因の検討を行う。
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Causes of Carryover |
2020年度はコロナ感染流行のため、専門家ヒアリングで現地に行くことがなく、また学会でもオンライン開催で旅費が発生しなかったため、その分の費用が浮いた。今年度は、がん臨床専門家へのコンサルティングおよび実カルテのチェック等で病院を訪問する予定としており、その費用にあてることとする。
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