2021 Fiscal Year Research-status Report
医療ビックデータを用いた治療待ち期間と医療提供体制の関連についての研究
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20K18898
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐方 信夫 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (60756188)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん / 治療待ち期間 / 医療ビックデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はDPCデータベースのデータクリーニングを行った上で、子宮頸がん、乳がん、肺がんの治療待ち日数の算出を行った。治療待ち日数の算出にあたっては、各疾患で確定診断に用いる検査をガイドラインで確認しながら、診療報酬上で同定し、診療行為マスター(社会保険診療報酬審査支払基金が提供)のコードと紐づけを行った。治療については、各疾患の根治的手術について、診療報酬上で同様に同定して、診療行為マスターで紐づけした。これらを用いて、DPCデータベースより、診断確定日(検査実施日)、治療実施日を確認して、患者個人ベースで治療待ち日数を算出した。 子宮頸がんについては、入院・外来データが紐付き、手術を行なったケース6000例が同定された。確定診断の検査実施から手術実施までの期間は平均53.7日(±55.3)で、右にSkewした分布となり、中央値は39日(26-60)であった。乳がんについては、入院・外来データが紐付き、手術を行なったケース64,272例が同定された。確定診断の検査実施から手術実施までの期間は平均60.8日(±58.1)、中央値は43日(30-62)で、40日と220日で2峰性の分布となっていた。 肺がんについては、気管支鏡下肺生検またはCTガイド下肺生検を行ない、かつ肺悪性腫瘍手術を行なった症例のみを対象としたところ、入院・外来データが連結されたケースでは、24,318例が同定された。確定診断の検査実施から手術実施までの期間は平均48.9日(±73.7)、中央値は43日(30-62)で、右にSkewした分布となっていた。 子宮頸がんと乳がんについては、確定診断は外来のみで通常完結できると考えられるが、肺がんについては、入院と外来の両方で確定診断の検査を実施している例があり、症例数と日数について疑義があるため、データ分析のプログラムを変更して再計算している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ感染流行のため、データ利用が可能なデータ保管場所へ行く機会が減り、分析の進捗が遅れている。特に、肺がんの分析において、想定していたより確定診断のプロセスが多様であり、再計算している。また、医療機関属性について、データより抽出する予定であったが、結果に疑義があり、他の方法で抽出した情報が正しいかを確認しているところである。このため、結果の確定が遅れており、論文作成に着手できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のデータ分析を進めていき、まずは肺がんの治療待ち期間を算出して、その後に医療機関属性データの収集を行う。医療機関属性データが確定したら、それらを説明変数として、治療待ち期間に影響を及ぼす医療機関属性を明らかにする予定である。特に、診療報酬上のがん診療拠点病院の指定と治療待ち期間に関連があるかを多変量解析で算出した上で、論文作成に着手る予定としている。
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Causes of Carryover |
令和3年度の研究活動において、分析に遅滞が生じたため、分析結果を用いて行う学会発表や論文作成が未実施の状態となっている。令和3年度予算の大変は論文作成にかかる英文校正費(約20万円)と論文掲載費用(オープンアクセスジャーナルを想定、40万円)であるため、これらの予算を翌年度に繰り越すこととした。また、令和3年度には分析結果の学会発表も予定していたが、これも遅延して発表できなかったため、同様にこれにかかる費用を令和4年度に繰り越している。
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