2020 Fiscal Year Research-status Report
The development of a drug for the primary prevention of hereditary breast and ovarian cancer
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20K18906
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小野 寿子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (50827326)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | BRCA / 遺伝性乳がん卵巣がん症候群 / chemoprevention / 一次予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本において乳がんの罹患率の上昇は深刻な問題である。日本人女性の10人に1人が乳がんに罹患するという現状を改善するには一次予防が急務である。まず一次予防すべき対象者は、生まれつきがんになりやすい体質、つまり家系による遺伝性要因を持っている方である。遺伝性乳がんのうち最も高頻度なのはがん抑制遺伝子BRCA1/2バリアントが原因となる遺伝性乳がん卵巣がん症候群である。我々はBRCA1がp21プロモーター活性の上昇に寄与しているという報告(Oncogene, 1999;18:263-268)から「p21の発現低下」に着目し、p21の発現を上昇させる物質の中にこそ、遺伝性乳がん卵巣がん症候群の方の発がん予防につながる薬物や低分子化合物が潜んでいるのではないかと考えた。 まずp21を標的にすることの意義を検証するとともにスクリーニングをおこなう細胞株を選定した。p21はp53の下流に存在することから、p53変異のないMCF7乳がん細胞とp53変異のあるOVCAR5卵巣がん細胞を使用し、siRNA法によりBRCA1をノックダウンし、p21の発現を検討した。すなわち、BRCA1のバリアントがある方が発がん過程でBRCA1のセカンドヒットが入ることによりp21の発現が低下するか検討することにより、p21を標的とする意義を検証した。siRNA法によりBRCA1をノックダウンした結果、MCF7細胞ではmRNAレベルでp21が上昇した一方、OVCAR5細胞では低下した。またsiBRCA1によって両細胞においてBRCA2の発現低下も認めた。以上の結果から、今後の実験はOVCAR5のようなp53変異のある細胞株を用いてBRCA1またはp21の発現を上昇させるような化合物をスクリーニングしていく方針とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スクリーニング用のデバイスのセットアップにおいて、PCRに必要な試薬の世界的な需要が増えたことによる供給低下や費用の高騰もあり、今年度の研究費では十分なセットアップが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の検討よりp53変異のある乳がんまたは卵巣がん細胞を使用し、p21を標的にして、実際のスクリーニングを開始する。 まずスクリーニングキットの選定としてスクリーニング用のデバイスのセットアップに必要な費用を考慮した上で検討薬剤の数を決定していく。今後の予防介入の発展を期待するとdrug repositioningが可能であることが望まれるため、現在臨床応用されている薬剤でのスクリーニングを施行したいと考えている。検討薬剤の数と予算を合わせて、スクリーニングキットの選定をおこなう予定である。 またスクリーニングの結果、期待される薬剤がヒットした場合はイメージングサイトメーター(In Cell Analyzer)を用いて、正常乳腺上皮細胞株MCF10Aなどに対する微細な毒性を極めて高感度かつ定量的に検証し、最も安全な候補物質に絞る方針とする。
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Research Products
(2 results)