2020 Fiscal Year Research-status Report
acrylamide誘発神経毒性に対するα-リポ酸の有効性の検討
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20K18909
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Research Institution | Yokohama College of Pharmacy |
Principal Investigator |
長嶋 大地 横浜薬科大学, 薬学部, 助教 (20713720)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アクリルアミド / α-リポ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦において、acrylamideは、土壌凝固剤や電気泳動の支持体として用いられるほか、食品の高温調理により生成することが明らかになっている。長期曝露によって、末梢神経障害や中枢神経障害を引き起こすことが知られており、その毒性発現には、タンパク質中のチオール基との結合が関与しているとの報告がある。この結合は、acrylamide自身の分子内の部分的な電子の偏りが関与していると考えられているが、その毒性発現機序は十分に解明されておらず、中毒時の治療法や予防法は確立していない。我々はこれまでにacrylamide曝露ラットを用いて脳内で変化するタンパク質を明らかにし、影響マーカーとしての有用性を報告してきた。そこで、本研究課題では、神経毒性発現メカニズムの更なる解明と、α-リポ酸による神経毒性に対する治療法の探索を試みた。 研究を遂行するに当たり、まずα-リポ酸の毒性試験を実施した。最終濃度を10nMから100μMまで10倍刻みで調整したα-リポ酸をラット副腎褐色細胞腫(PC12)細胞に曝露し、細胞生存率に影響が現れる濃度および時間を決定した。また、acrylamideの毒性試験も同時に実施し、α-リポ酸同様、細胞生存率を評価した。これらの濃度および時間を基に、Nerve Growth Factor (NGF)刺激によって分化させたPC12細胞にacrylamideとα-リポ酸を同時投与し、顕微鏡下で形態学的評価を実施した。 現在、PC12細胞からタンパク質を抽出し、細胞分化に必要なタンパク質をウエスタンブロット法で検討している。また、細胞分化に必要なタンパク質の阻害剤を用いて薬理学的な検討も実施している。更に、RNAを抽出し、qPCRでの遺伝子解析も実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和2年度より他機関へ異動したたため、以下の理由で遅れが生じた。まず、当初計画していた動物実験であるが、動物実験教育訓練講習会への参加や動物実験計画書の申請に時間がかかった。また、新型コロナウイルスの流行に伴い、教務エフォートが増大し、研究開始時期が大幅に後退した。更に、in vitroでの毒性試験を実施したが、培養細胞の成育環境や、acrylamideおよびα-リポ酸の濃度・時間決定に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には実験計画書に従い遂行するが、現在実施中のin vitro研究が完遂した後に初年度計画していた動物実験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
前述の通り、令和2年度より他機関へ異動したため当初計画していた動物実験が実施できなかった。また、新型コロナウイルスの流行により教務エフォートが増大し、実験開始時期に大幅な遅れが生じた。 現在は動物実験教育訓練講習会は受講済であり計画書も整備されているため、実施中のin vitro研究と共にin vivo研究も遂行する。
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