2021 Fiscal Year Research-status Report
化学物質過敏症患者を対象とした室内環境中の化学物質評価に関する新たな戦略
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20K18919
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
戸次 加奈江 国立保健医療科学院, 生活環境研究部, 主任研究官 (00722084)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イソシアネート / アレルギー / 室内環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アレルギーや化学物質に対して過敏症と診断される患者を対象に、健康状態と化学物質による汚染実態の両者の関連性について調べることを目的としている。本年度は、これまでアレルギー性疾患や喘息、さらに化学物質過敏症などとの関連性が指摘されるイソシアネート化合物を対象に、環境中での濃度分布を明らかにすることでヒトへの曝露状況に関するデータを得ることを目的とし進めてきた。分析方法は、これまでに確立した捕集法及び分析法(Bekki et al, Anal Bioanal Chem 2018)を用い、新たに環境中での汚染が懸念されるイソシアネート数種類について標準品を用い定性的に分析した。その結果、屋外、一般住宅、実験室など様々な場所からイソシアネートが検出され、揮発性の高いMethyl isocyanate、Propyl isocyanate、Butyl isocyanateなどが比較的高濃度の傾向にあった。これらの殆どはカートリッジに捕集され、ガス状で環境中に存在するものと考えられた。こうした結果から、一般の室内環境下でもイソシアネートによる汚染の可能性が懸念され、今後は、測定時間の検討や測定法を改良することで、イソシアネートによる環境汚染の実態を幅広く調査していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでのコロナ禍の影響により、試薬の入手等に時間を要したことや実験の進捗自体に遅れが生じている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
実験への協力者を募り、進捗に遅れが生じていた分析法の検討を早急に進める予定である。また、本研究では、より高効率な捕集及び分析を可能とする新たな方法を確立することで、多くのデータ収集を行い、これらデータと疾病との関連性を調べるための疫学的な知見が得られるよう進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
分析法の検討や、研究の全体計画の進捗に遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。また、コロナ禍の影響で、学会参加などがオンライン化されたことにより、旅費の使用額にも変更が生じた。これらは、今年度の試薬の購入や分析法検討のための消耗品の購入、そして実験を効率良く進めていくため協力者への人件費にあてる予定である。
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