2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K18922
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Research Institution | Toyama Institute of Health |
Principal Investigator |
金谷 潤一 富山県衛生研究所, 細菌部, 主任研究員 (80463131)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | レジオネラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、潜在的なレジオネラ症患者を積極的な喀痰培養検査によって診断し、その患者実態の把握を通じて、感染源を明らかにする。国内における届出患者の診断の大半が尿中抗原検査によるものであるが、従来の尿中抗原検査試薬はLegionella pneumophila血清群1(Lp1)以外の菌種・血清群に対する感度は著しく低いため、Lp1以外のレジオネラ属菌に感染している患者は把握されていない。したがって、現在まで、国内において、Lp1以外を原因菌とする潜在的なレジオネラ症患者の実態はよくわかっていない。 これまでに、本研究を実施するにあたり、当所における倫理審査委員会の承認を得た。また、レジオネラ症を疑う患者の喀痰を含む呼吸器検体を確保するため、県内2か所の医療機関に協力を依頼し、当該医療機関における倫理審査委員会の承認を得た。もう1か所の医療機関についても、協力を得るため現在調整中である。今後、さらに1か所の医療機関へ協力を依頼する予定である。 2012年以降に当所に搬入された呼吸器検体(184症例196検体)について、レジオネラ属菌検査の結果を解析した。尿中抗原によってレジオネラ症と診断された174検体のうち、64検体(36.8%)から菌が分離され、すべてLp1であった。一方、尿中抗原が陰性であったレジオネラ症疑い患者から採取された22検体のうち、2検体からLp2が分離された。したがって、Lp1以外を原因菌とする、従来の尿中抗原検査では診断できない潜在的なレジオネラ症患者の存在が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大により、医療機関の協力を得るのが遅れ、研究体制の構築に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた呼吸器検体について、積極的に培養検査や遺伝子検査を実施し、検査診断の確定に取り組む。臨床分離株と当所に保存してある環境分離株の系統解析を実施し、患者の行動調査と合わせて、とりわけLp1以外を原因菌とするレジオネラ症患者について、その感染源を解明する。また、喀痰検体のメタゲノム解析を実施し、尿中抗原陰性の肺炎患者の病因物質を特定する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により、医療機関からの喀痰検体数が当初の想定より少なかったため、検査試薬に関する余剰金が生じた。したがって、今後の計画として、より多くの喀痰検体について、次世代シークエンサーを用いたメタゲノム解析を実施する。
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[Journal Article] Detection of Legionella species, the influence of precipitation on the amount of Legionella DNA, and bacterial microbiome in aerosols from outdoor sites near asphalt roads in Toyama Prefecture, Japan2021
Author(s)
Kanatani JI, Watahiki M, Kimata K, Kato T, Uchida K, Kura F, Amemura-Maekawa J, Isobe J.
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Journal Title
BMC Microbiology
Volume: 21(1)
Pages: 215
DOI
Peer Reviewed / Open Access