2023 Fiscal Year Annual Research Report
思春期における自尊心低下のリスク解析と自尊心低下による問題行動へのリスク解析
Project/Area Number |
20K18929
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
水野 君平 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (90862532)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自尊心 / 思春期 / 縦断研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、第二次性徴の到来の早さが急激な自尊心の低下などの自尊心の発達的変化のパターンに対してどう影響を及ぼすのか、第二次性徴の到来の早さ・どのような自尊心変化が問題行動のリスク要因となるのかを「北海道スタディ」コホート研究に参画する形で検討することであった。最終的に3波の自尊心データ、3波目の自己質問形式で得られたSDQ(外在化問題行動、内在化問題行動)、二次性徴到来の個人差としては欠損値が少ない「北海道スタディ」で収集している身長データから得られた発育スパートのデータを用いて解析に向かうことができた。欠損値は完全情報最尤推定法を用いることで欠損に対応した。 潜在プロファイル分析による結果、4つのクラスタに自尊心の変化パターンを類型した。約半数の子どもは高く安定した自尊心を持っており、その他も安定した軌道であった。そのため不安定な自尊心を描くパターンが見受けられなかった。そして、二次性徴到来の個人差はパターンによって差がなかったことから、二次性徴到来の個人差は自尊心変化に影響しなかった。最後に、自尊心変化のパターンは問題行動に対して影響したが、安定して低い自尊心だった子どもは安定して中程度~高の自尊心よりも問題行動のリスクが高いことがわかった。すなわち、平均的に自尊心が低いことが問題行動と関連するだけで従来の研究に整合的であった。 大多数の子どもは中~高程度の自尊心を安定して抱いているが、一部の子どもは低く変化しない自尊心を持りち問題行動とも関連することから、このような不適応を抱いてしまう子どもは早い段階でアセスメントし、支援に繋がるようなリスク要因を明らかにしてくことが望まれるだろう。
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