2023 Fiscal Year Research-status Report
前向きゲノムコホート研究の縦断解析による循環器疾患の発症リスク予測モデルの構築
Project/Area Number |
20K18943
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
藤井 亮輔 藤田医科大学, 医療科学部, 講師 (60823846)
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Project Period (FY) |
2022-12-19 – 2025-03-31
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Keywords | ゲノム疫学 / ポリジェニックリスクスコア / 高血圧 / 遺伝統計学 / コホート研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度(2023年度)は、本課題の目的である縦断解析におけるポリジェニックリスクスコア(PRS)の構築を目指して、日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study)のデータセットのうち、遺伝的多型の情報が測定されている9,296人の日本人集団での収縮期血圧および拡張期血圧に関するPRSを構築した。PRSの計算方法には、PRSice-2およびPRS-CSという方法を用いた。PRS構築のために参照した収縮期血圧および拡張期血圧のGWAS要約統計量は、バイオバンクジャパンが公開しているGWASデータ:Phewebからダウンロードし利用した。 収縮期血圧および拡張期血圧のPRSと血圧実測値との横断解析については、Fujii R, et al. Circ Genom Precis Med. 2022. を参照されたい。今年度の実績としては、収縮期血圧および拡張期血圧のPRSと追跡期間中の全死亡・循環器疾患死亡との関連を調べた。循環器死亡はICD-10のI00-I99とした。統計解析では、PRSを5つのグループ(0-10%、10-20%、20-80%、80-90%、90-100%)に分割し、中間群(20-80%)を対照としてそれ以外の群のハザード比(HR)をCox比例ハザードモデルで推定した。追跡期間中(中央値12.6年)に、全死亡は273例、循環器死亡は41例観察された。PRS中間群(20-80%)と比較して、PRS最上位群(90-100%)の多変量調整HR(95% CI)は、収縮期血圧のPRSでは3.57(1.68-7.58)、拡張期血圧のPRSでは3.94(1.78-8.72)であった。研究成果は、第34回日本疫学会学術総会にて報告し、英語論文は査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の到達目的である血圧PRSと追跡期間中の循環器死亡との関連も調べており、十分に研究計画は達成されていると考える。さらに、令和6年度は発展的な解析に取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
主要な研究目的をさらに発展させ、1)血圧PRSを超えて循環器疾患に関与する生体指標のPRSを構築し、循環器死亡との関連を探索すること、2)血圧PRSと血圧実測値の両者を活用した個別化医療(検査)に資する層別化解析を行うことを計画している。
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Causes of Carryover |
当初よりも大幅に研究計画(物品費や旅費について)が変更したため、次年度使用額が生じた。
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