2022 Fiscal Year Research-status Report
BCG接種制度見直しにおける小児結核リスクの推定とベネフィット・リスク評価
Project/Area Number |
20K18950
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Research Institution | 公益財団法人結核予防会 結核研究所 |
Principal Investigator |
濱口 由子 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 臨床・疫学部, 研究員 (60729002)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小児結核 / BCG / 感染症数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】数理モデルを用いて小児結核とBCG重大副反応の科学的な定量化を行い、 BCG接種による便益(予防効果)と不利益(BCG重大副反応)を評価し、BCG接種制度の見直しのための基礎資料を提供する。 【方法】本邦の結核の年間感染危険率(ARI)の動態と小児結核(5歳未満)の感染・発症メカニズムをとらえた数理モデルを構築し、本邦のBCG接種制度のベネフィット・リスク評価を行う。 【進捗状況】結核の初感染年齢および感染時刻別の小児結核発病リスクを明らかにし、BCG接種・未接種別に分け、5歳未満の小児結核の感染・発病メカニズムのモデルを構築し、既存の疫学データ(サーベイランス情報)を用いて実装が可能であることが示された。また、モデルの検証結果から、単位時間を「年」で時間遷移する定式では、感染・発病予防効果を同時推定することは困難であると判断し、当該モデルの仮定の見直を行い知見の少ない感染予防効果の推定を優先した。全年齢一律発病予防効果を先行文献の58%とし、0歳から4歳までのBCGの感染予防効果をそれぞれ最尤推定し、感度分析を行った。乳幼児期の免疫系の発達はそれ以上の年齢層とは大きく異なる。BCGワクチンの接種時期を評価するためには、感染予防だけでなく発病予防についても明らかにする必要があるため、小児結核の月齢別発症数の情報とともに、時間遷移の単位を「月」とするモデルの定式化がさらなる課題である。 【成果】第97回日本結核・非結核性抗酸菌症学会総会・学術講演会にて口頭発表。ここまでの研究結果をまとめている(論文執筆中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染予防のための技術支援業務を行なっていたため1年延長としたが、プライマリーのモデル構築自体は3年で達成できており、さらに次のモデルに進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
小児結核の月齢別発症数のサーベイランス情報を用い、時間遷移の単位を「月」とするモデルを実装し、感染・発病予防効果の同時推定および接種時期によるBCGの有効性の評価および、BCG接種制度の代替政策に関する科学的根拠を提示する。
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Causes of Carryover |
世界情勢的にパーツが不足しており生産ラインが追いつかない状況であり、研究に必要な計算サーバー等物品の入手をタイムリーに行うことが困難だったため。
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