2020 Fiscal Year Research-status Report
臨床情報と細菌の薬剤感受性、遺伝子情報を統合した耐性菌と患者予後の関連の研究
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20K18972
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
梶原 俊毅 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 研究員 (40816948)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 薬剤耐性菌 / JANIS / ESBL産生腸内細菌科細菌 / 予後 |
Outline of Annual Research Achievements |
ESBL(Extended Spectrum Beta-Lactamase)産生菌は、入院患者検体での分離頻度が上昇し続けており、その患者予後に与える影響の理解と制御を行うことを目的に、3種類(広島大学院内感染症プロジェクト研究センター内にある10年間蓄積された広島県下12病院のESBL産生菌の菌株遺伝子情報とJANISに含まれる薬剤感受性情報、DPC情報)のビッグデータを統合解析し、(A) ESBL産生菌が分離された患者について、診療の過程で薬剤感受性が判明するまでに行われた経験的治療の内容によって、予後がどれだけ改善・悪化するのか、(B)世界中で頻度が増加しているST (Sequence Type) 131とその他の間で、および抗菌薬分解酵素タイプの違いによって、患者予後に有意な差があるか、(C) ほとんどの薬剤が無効にも関わらず、見かけ上感受性を示す「ステルス型」と称される耐性菌が患者予後をどれだけ悪化させるか、その治療にアミノグリコシド系薬剤併用が有効かどうか、を解明する。臨床情報を扱うため、各12病院において倫理審査を受けた。現在12病院中9病院において承認を受け、DPC情報の用意をしている。現在12病院中3病院において、倫理審査前及び途中である。臨床情報を含まない菌株遺伝子情報とJANISの薬剤感受性情報は各病院の担当者にてそれぞれ準備が完了している。 他方、JANIS情報利用に関し、JANISのReviewをまとめ、臨床情報を統合する本研究が、薬剤耐性が患者予後に与える影響を解析することの重要性について発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症が各病院の担当者(主に細菌検査室の臨床検査技師)の業務を圧迫し、各病院における研究計画書の作成から倫理審査を受け承認を得るまでの手続きに支障をきたした。また、DPC情報を受け取るための訪問に際し、緊急事態宣言が発出されている状況で訪問が困難であったため、データの受け取りができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、残り3病院での倫理審査を推進する。また、緊急事態宣言が解除された後、各病院と相談の上、訪問の上、データの収集を行い、統合解析用のプログラムの作成を行う。
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Causes of Carryover |
各病院における倫理審査が新型コロナウイルス感染症の蔓延によって遅れたため、各データの取得に至らず、統合解析プログラムの開発が次年度に持ち越しとなった。次年度は各データを取得し、統合解析プログラム開発を行う予定である。
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