2021 Fiscal Year Research-status Report
シルバー人材センターを基軸としたフレイル予防の介護認定・給付費抑制効果と波及効果
Project/Area Number |
20K18974
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
野藤 悠 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (10626047)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | フレイル予防 / シルバー人材センター / 要支援・要介護認定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、兵庫県養父市で2014年度より実施している「シルバー人材センターの会員が各行政区に仕事として出張し、フレイル予防教室の立ち上げ・運営を行う」という取り組み(養父モデル)により、研究①:教室参加者および教室実施地区の要介護認定率および介護給付費がどの程度抑制されるか、研究②:シルバー人材センターの会員が教室の運営を担うというモデルが他地域に普及するかを明らかにすることである。 2年目にあたる本年度は、研究①の分析の一部、および、研究②の分析のための普及状況及び課題に関する情報収集を行うことを計画していた。以下に実施状況の概要を示す。 研究①:2012年に実施したベースライン調査の対象者を2019年3月末まで追跡し、教室参加と要支援・要介護認定(以降、認定)発生との関連性を検討した。3350名のデータを使用しCox比例ハザード分析を行ったところ、教室参加者では非参加者に比べ認定発生ハザード比が0.45(95%信頼区間:0.34-0.59)と有意に低いことが確認された。これらの関連性は、対象者の背景要因を調整するために行った逆確率重み付け(IPTW)法および傾向スコアマッチング(PSM)法を用いた分析でも同様に認められた。原因別にみると、いずれの分析方法においても認知症およびその他を原因とする認定に対して有意なリスク低下が認められたが、循環器疾患および整形外科疾患を原因とする認定との関連性は認めらなかった。 研究②:埼玉県内のシルバー人材センター全58センターのうち、新たに2センターを対象に、事業の実施状況および実施する上での課題や工夫についてインタビュー調査を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究①については当該年度に予定していた分析が終了したものの、研究②については予定していたインタビューの件数を行うことができなかったことから、本研究は「やや遅れている」と自己評価している。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる令和4年度は、研究①については、フレイル予防教室への参加がその後の介護給付費に及ぼす影響を検証する。 研究②については、埼玉県内における養父モデルの普及状況を、ポピュレーション戦略の評価手法の一つであるRE-AIMの枠組みを用いて評価すると伴に、実施に際する課題やその解決方法をとりまとめる。
|
Causes of Carryover |
予定していたインタビュー調査が新型コロナウイルス感染症流行の影響を受けて再度延期となったため。持ち越した金額は、最終年度にインタビュー調査の費用として執行するほか、結果のとりまとめ(マニュアル作成等)に使用する予定である。
|