2020 Fiscal Year Research-status Report
Histological examination of cardiac amyloid deposition and analysis of risk factors for sudden death: a forensic autopsy series.
Project/Area Number |
20K18979
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
一萬田 正二郎 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (60849355)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 心臓 / アミロイドーシス / ATTRアミロイドーシス / 突然死 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究の目的は、生前に診断されていない散発性トランスサイレチン(ATTR)アミロイドーシスの臨床病理学的特徴を調査することである。 2008年から2019年の間に当講座で施行された1698人の日本人の法医学的剖検患者を評価した。伝導系を含む16の心臓領域におけるATTR沈着の程度と量を顕微鏡観察にて半定量的に評価した。また、その値をもとにワードの階層的クラスター解析行い、症例の亜分類を行った。また、ATTRと心房ナトリウム利尿因子由来アミロイド(AANF)の関係を評価した。 結果、アミロイドーシスの臨床診断および家族歴のない44人の心臓ATTRアミロイドーシス患者(平均年齢85.3±5.9歳;男性22人)が特定された(全患者の2.6%、80歳以上の患者の8.8%)。 44人の患者全員が寝たきりの状態ではなく、病院外で死亡した。これらのうち、10人(23%)が突然死であった。ATTR沈着は、房室弁下1-2cmの位置の心室中隔に最も多く認めた。心伝導系への沈着は半数に認めたものの、程度は軽度~中等度であった。一方、クラスター解析では、3つのグループ(軽度、心房優勢、および重度の沈着グループ)の存在が明らかになった。アミロイド沈着は各心房と心室の両方からほぼ同時期に始まると考えられたが、心房中隔と心室中隔基部(房室弁下1-2cm)が最も頻繁に沈着を示した部位であった。また、心房ではATTRとAANF沈着の共沈着が確認された。 以上より、散発性ATTRアミロイドーシス患者は、初期段階からでも突然死のリスクファクターである可能性が考えられた。ATTRアミロイド沈着はある程度の規則性を持って進行すると考えられた。また、心房におけるATTRとAANF沈着間に相互作用がある可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では2021年度に結果を投稿予定であったが、非常に明確な結果が得られたため順調に結果の論文化が進み、2020年度内にAmyloid誌に投稿し、採用され、2021年度に入ってすぐに雑誌に掲載された(Amyloid 2021; 28: 125-133)。
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Strategy for Future Research Activity |
本検討では心臓全体の評価、特に心房の評価が心房中隔しか行えていないため、心耳を含む組織を標本化してある症例でさらなる詳細な検討を行う予定である。 また、心臓以外の組織の沈着から心臓への沈着量を予測できるかの評価、遺伝性のATTRアミロイドーシスの予後因子となる所見が散発性の症例でどの程度認められるかの評価を行う予定である。
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