2023 Fiscal Year Research-status Report
Histological examination of cardiac amyloid deposition and analysis of risk factors for sudden death: a forensic autopsy series.
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20K18979
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
一萬田 正二郎 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (60849355)
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Project Period (FY) |
2022-12-19 – 2025-03-31
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Keywords | アミロイドーシス / トランスサイレチン / 心房 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は2021年に、心臓のトランスサイレチン由来アミロイド(ATTR)沈着は高齢者の突然死の原因となりうること、心房へのATTR沈着には左右で差がみられることを報告した(Amyloid. 2021; 28: 125-133)。 この所見をさらに検証するため、2019年7月~2021年7月にかけて、70歳以上の症例において左右の心房及び心耳をサンプリングを行った。ATTR陽性例の抽出は、通常の染色標本でアミロイド沈着が疑われた症例に対して、トランスサイレチンに対する免疫組織化学を用いて行った。以上の検討を通じて、20例のATTR沈着陽性例を抽出し得た。 これらの症例において左右の心房への沈着様式に差があるかを病理標本上で半定量的および定量的に解析した。定量的解析はImage J/Fijiを用いた(Nat Methods 2012; 9: 676-682)。また、心臓突然死の原因となりうると考えられる、ATTRの心臓神経への進展の有無も評価した。 現在、標本作成及び病理組織学的検討が終了し、その結果を解析中である。主な新規所見として、1) ATTR沈着は左房系に統計的な有意差をもって重度の沈着を認めること(left-predominant deposition pattern)、2) ATTR沈着は女性よりも男性で統計的な有意差をもって重度であること、3) 心房ナトリウム利尿因子由来アミロイドとATTRの共局在は免疫組織化学上でははっきりしないこと、4) 程度は軽いもののATTR沈着は心臓神経の周膜や神経内に及ぶことを見出した。また、偶然の発見として、一部の症例では多核巨細胞がATTR沈着物を貪食する像を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標本作製および病理組織学的検討が終了し、現在その結果を基に論文を作成している。論文は病理系のジャーナルに投稿する予定である。助成期間の最後の年度である令和6年度中には論文発表が終わる予定であり、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ATTR沈着が心臓の神経を侵すことを見出したため、交感神経系におけるdenervationの程度を評価予定である。また、多核巨細胞がATTR沈着を取り囲む所見はATTR沈着に対する抗体が関与している可能性が示唆されているため(N Engl J Med 2023; 388: 2199-2201)、今後検討を予定している。
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