2020 Fiscal Year Research-status Report
個人識別を目的とした試料の劣化に頑強な新規微生物叢解析法の開発
Project/Area Number |
20K18991
|
Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
豊間根 耕地 科学警察研究所, 法科学第一部, 研究員 (70845362)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 個人識別 / 微生物叢 / CRISPR |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者はこれまでに、新規個人識別法の開発を目標として、皮膚微生物叢中に存在する真正細菌が保持するCRISPRに着目し、CRISPRのスペーサー配列を指標とした新規微生物叢解析法を構築した。本研究の目的は、環境への曝露などによって生じる試料の劣化が、研究代表者が構築した新規微生物叢解析法に対して与える影響を評価することである。 本研究の遂行にあたり、まずは同一の微生物叢に由来する、劣化前と劣化後の試料ペアを作製することが必要になると考えられる。そこで、採取日時、被験者、採取部位を揃えた皮膚スワブの試料ペアを複数作製し、DNA抽出、PCR増幅、シーケンシングを行うことで、試料ペア間におけるCRISPRのスペーサー配列の多様性を比較し、同一の由来をもつ試料同士の類似性を評価した。抽出したDNAについてPCRによりCRISPRスペーサーライブラリを作成し、次世代シーケンサーMiSeqによる解析を行った。得られた結果について、微生物叢解析パッケージQiime2を用いて試料間の多様性の類似性を表す指標であるBray-Curtis指数を計算したところ、同一の由来を持つ試料は十分に類似することを示唆する結果が得られた。 また、DNA抽出の最適化を目的として、微生物叢解析における実績が豊富だが手順が煩雑な抽出試薬と、法科学領域における実績が豊富で自動化が可能な一方で微生物叢解析における実績に乏しい抽出試薬の比較を行った。抽出DNAの濃度と、多様性の類似から検証を進めたところ、後者の抽出試薬を用いた場合も前者の抽出試薬と同等の結果を得られることが示された。今後、DNA抽出過程の自動化を進めることで、効率的な研究計画の遂行が可能になるものと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、試料の採取が遅れていることに加え、テレワークの取得により実験の実施に遅れを生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
皮膚スワブの試料ペアを作製し、片方を環境中に曝露するなどの手法により劣化させ、試料の劣化がCRISPRの解析に与える影響を評価する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で研究計画に遅延が生じたため次年度使用額が生じた。研究計画の遅れが解消しない場合は研究期間の延長を検討する。
|