2020 Fiscal Year Research-status Report
新人期看護師の看護実践能力習得-正統的周辺参加論によるモデル化-
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20K19014
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
古川 亜衣美 同志社女子大学, 看護学部, 助教 (70816727)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 尺度開発 / 短縮版作成 / 新人期看護師 / メンタリング機能 / 職場学習風土 / 看護実践能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、卒後3年未満の新人期看護師の看護実践能力に対するメンタリング機能とそれに影響する職場学習風土について、正統的周辺参加論に基づきモデル化し、その妥当性を検証する。正統的周辺参加論がモデルとして実証できれば、実践共同体における職場学習風土の影響やメンタリングの有用性を示すこととなり、現在、暗黙のうちに行われているメンタリングの顕在化・可視化にも役立つ。本モデルは看護管理者に対して、新人期看護師の看護実践能力習得を促す支援体制や看護方式を考えるうえでの新たな教育的資料となりうる。 当該年度においては、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、本研究の研究対象者である新卒看護師の採用が例年より遅れる、配属部署が確定しないなどに加え、新人教育研修の内容や実施形態の変更を余儀なくされた施設があった。また、医療現場は混乱を極め、院内感染などの報道もあり、協力依頼施設の状況確認が難しく、依頼施設の選定が困難となった。 よって、本研究のPhase1である「新人期看護師におけるメンタリング機能尺度項目の修正」を2021年度より実施し、Phase2の「新人期看護師におけるメンタリング機能尺度(短縮版)の信頼性・妥当性の検討」は新型コロナウイルス感染症における医療施設への負担を最大限考慮しながら、協力依頼施設を選定する。具体的には、あらかじめ医療施設の看護部長や研究担当者にはがきによって依頼可能な状況かどうか、また新卒看護師の研修状況についての聴取を実施する。また、その際は新卒看護師含め、研究対象者である新人期看護師の研究負担についても最大限配慮する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は4月より新型コロナウイルス感染症の蔓延により多くの医療機関がその対応に迫られた。それに伴い、本研究の研究対象者である新人期看護師に含まれる、卒後すぐの新卒看護師の採用において、採用延期、配属部署の選定延期など、例年通りに行われない施設があった。また、新卒看護師の教育体制において、院内研修が実地指導型からオンライン指導に切り替わるなど、大幅な変更を余儀なくされていた。 本研究の研究対象者に含まれる新卒看護師(1年未満)の配属や教育体制に大幅な変更があるということは、調査結果にも多大な影響を及ぼすと考え、2020年度の調査を見送らざるを得なかった。加えて、医療機関の部長など責任者に問い合わせたところ、医療現場は混乱を極めており、研究協力の依頼を受けること自体が困難であるとの回答があった。
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Strategy for Future Research Activity |
第一研究のPhase1である「新人期看護師におけるメンタリング機能尺度項目の修正」として、尺度項目修正方法の検討と文献検討を実施する。尺度項目修正の方法については、短縮版の作成方法として古典的テスト理論による方法(尺度の測定精度を表す際に信頼性係数(クロンバックのα係数などを用いる)か、IRT理論(テスト情報量が用いられる)かを文献検討によって決定する。また、医療現場の状況も鑑みながら、調査対象者の負担が少ないWeb調査の方法についても検討し、Phase2の「新人期看護師におけるメンタリング機能尺度(短縮版)の信頼性・妥当性の検討」に向けて、調査票の作成と対象者のリクルート方法について再検討を行う。関西・関東以外の医療施設への協力依頼も視野に入れ、調査対象施設を選定し、今年度調査を実施する。 第1研究のPhase2の調査については、全国の卒後3年未満の新人期看護師に対し、無記名自記式質問紙調査を実施する。施設の外部研究責任者に対し書面による研究協力を依頼し、了承を得たのち、調査対象者用の依頼書を送付する。サンプル数は、項目数の5倍かつ400以上を目安とし、調査票回収率30%を想定して依頼する。新人期看護師のメンターとの出会いが影響することを鑑み、2021年1月以降3月末までに調査を実施する。第2研究の「新人期看護師の看護実践力に影響するメンタリング機能と職場学習風土の検討」については、2022年度に実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、国内外の学会が中止、もしくはオンライン開催となったため、旅費が一切不要となった。また、病院での調査を次年度に見送ったため、調査にかかる費用、謝金も今年度は不要となった。次年度は、医療施設の状況を鑑みながら、全国的にWeb調査を実施する予定である。そのため、調査費用と謝金が必要となる。また、データ分析のソフトウエア、分析と結果考察に必要な論文、書籍など、まだ未購入である物品購入もある。今年度も、学会参加に関してはオンラインの見込みであるため、旅費は不要になると考えられる。
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