2023 Fiscal Year Research-status Report
PIVCにおける穿刺静脈の血管怒張を促すために有効な温罨法の加温条件の検討
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20K19023
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 美晴 九州大学, 医学研究院, 助教 (60820256)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 末梢静脈カテーテル留置術 / 静脈の拡張 / 加温条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢静脈カテーテル留置術(PIVC)において、穿刺が困難な静脈を穿刺する場合、静脈の血管拡張を促すために、穿刺する部位を温める「局所温罨法」が行われる。本研究の目的は、静脈の血管拡張に有効な局所温罨法の加温条件を検討することである。 2023年度は前年度に引き続きデータの分析と考察を行った。23名に対してクロスオーバーで対象者1人につき範囲の異なる2条件(穿刺部のみと前腕全体)で局所温罨法を10分間行い、加温前と加温具を除去した1分後(以下加温後)の静脈断面積を比較した。結果、2条件とも加温後には先行研究と同等の静脈断面積の増加を認めたものの、加温前後および加温条件間に有意差を認めなかった。 この結果に関しては、臨床での実践を想定して加温後は加温具を除去して1分後の静脈断面積を設定したが、局所温罨法に対する個人の静脈血管反応のばらつきが当初の想定以上に大きかったため、有意差が出なかった可能性が考えられた。さらに、加温前の静脈断面積が小さいほど加温後の静脈断面積の変化率が大きいことが示された。これらの結果は学会にて成果発表を行い、論文投稿に向けて準備中である。 加温前後で有意差が出なかった理由についてさらに検討した結果、もう一つの可能性として呼吸周波数の影響が考えられた。そのため、2023年度中に呼吸周波数と静脈径の関連を明らかにするために追加で実験を行った。すでにデータ収集および分析を終え、現在論文投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予想に反し、加温前後の静脈断面積に有意差を認めなかったことから、この点に関する考察に時間を要したため。さらに、考察に基づき追加の実験を計画し、倫理審査委員会の承認を得る必要があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
追加実験の結果に基づき、加温前後の静脈断面積に有意差を認めなかったことについて解釈を進める。成果発表として、論文投稿の準備を行う。
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Causes of Carryover |
学会がオンライン開催であったため旅費の支出がなかった。次年度は現在執筆中の論文校閲日および論文投稿料としての使用を計画している。
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