2022 Fiscal Year Annual Research Report
肥満皮膚の病態に着目した創感染に対する新たな看護ケアデバイスの開発
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20K19056
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
福田 真佑 横浜市立大学, 医学部, 助教 (30803465)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 創傷 / 創傷治癒 / 肥満 / 創感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満は術後の創感染リスクの増大因子であり、肥満者は非肥満者よりも創感染の発生率が高いとされる。本研究は、慢性創傷に対して創傷治癒促進効果が認められているバイブレーションセラピー(振動刺激)の肥満皮膚の創感染に対する有効性を明らかにすることを目的とした。 10週齢の雄性TSODマウスの背部に直径4㎜の全層欠損創を作製した。創部は実験時以外は創傷被覆材であるテガダームTMトランスペアレントドレッシングで保護した。実験期間中は毎日創部の観察を行い観察後に創傷被覆材を交換した。TSODマウスを振動刺激群と対照群の2群に分け、振動刺激群には創傷作製日0~14日まで毎日振動刺激を行った。創傷作製3日目、7日目、14日目に各群のマウスを安楽死させ、背部の皮膚から創部を含む皮膚組織を採取した。10%ホルマリン固定後の背部皮膚組織のパラフィン包埋ブロックを用いて染色標本を作製した。HE染色標本を用いて各時期の2群の組織形態学的評価を行った。また、免疫染色標本を用いて創作製後3日目および7日目の2群の創部におけるCD31の局在の評価した。さらにマッソントリクローム染色標本を用いて創作製後14日目の2群における膠原線維の局在を評価した。 創作製後3日目における創部のCD31は振動刺激群よりも対照群のほうが高発現していた。創作製後7日目における創部のCD31の発現は対照群よりも振動刺激群のほうが高い傾向にあった。また、創作製後14日目の創部の膠原線維は対照群よりも振動刺激群で濃染が鮮明かつ密であった。 対照群よりも振動刺激群で膠原線維の増生が観察されたことから、振動刺激は線維芽細胞の増殖およびコラーゲン産生を亢進することにより肉芽組織の形成を促進することが示唆された。また、振動刺激により肉芽組織形成後の創部の強度は増加し創部裂開が起きにくく創感染になりにくい状態になる可能性が示唆された。
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