2020 Fiscal Year Research-status Report
慢性心不全患者のACPを推進するための情報共有ツールおよび運用モデルの開発
Project/Area Number |
20K19068
|
Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
樋口 佳栄 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (00460098)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 慢性心不全 / ACP / 情報共有ツール / 情報共有運用モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終的な目標は、慢性心不全患者のAadvance Care Planning;ACPのプロセスを支えるため、ACPを意識した情報共有のツールおよび運用モデルを作成することにある。研究1年目の目標は、病院内に慢性疾患を持つ人々のための生活相談が気軽にできる場をつくり研究の拠点を立ち上げ、そこでの相談内容を分析することで、情報ツールの枠組みを作成すること、院内での情報共有の運用モデル試案することであった。しかしながら下記に示す理由により、当初検討していた方法では研究の遂行が困難な状況となったため、研究のプロセスを修正して進めている。 現在、協力病院で慢性疾患を持つ人々のための生活相談の場は立ち上げられたが、COVID-19感染拡大の影響により、周知して十分に機能するまでには至っていない。まずは国内外の文献の知見を精査することにより、①情報共有シート運用モデルの試案の作成、②情報共有ツールの枠組みの下案作成、に取り組んでいる。①に関しては、地域包括ケアシステムを踏まえつつ、Interprofessional Shared Dicision-Making; IPSDM、Nursing model for Supporting Shared Decision Making; NSSDM、Goal-Concordant Careなどの考え方やプロセスを参考に、ACPにおける対話にShared Decision Making; SDMの手法を取り入れたモデルを検討している。②に関しては、患者の経験を中心に据えることを基本的理念として、心不全患者のACPの概念分析(山本, 吉岡, 2020)やACPの有用性を検証するtrial研究も含め、慢性心不全患者自身の体験をテーマにした文献を収集し、情報ツールの枠組みを作成している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、慢性心不全をもつ患者のACPに関する情報共有シート案を作成し、運用方法の試案を完成させることが目標であった。しかしながらCOVID-19の感染拡大に伴い、協力を予定していた病院および患者の状況が一変したため計画通りの協力を得にくい状況が生じてしまったこと、また大学の状況も一変したため研究者がこの研究に費やすことができるEffortが極端に減少してしまったことにより、予定通りの計画を進めることが困難な状況に陥った。 よって、最終目標達成に向けて、現在計画を修正し、COVID-19感染拡大の状況に左右されにくい部分から進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、可能な限りCOVID-19の感染拡大状況に左右されにくい研究から着手するような計画に修正し、最終的な目的を達成できるように進める。すなわち、文献の知見の精査並びに、情報共有ツール及び運用モデルの下案を作成し、比較的研究協力者を得やすい地域を焦点にして患者/医療者双方の参加者を募り、試案を洗練することを目標とする。具体的には下記に記した。 2021年4~8月 :(1)ACPに関連した情報共有について、国内外の文献を精査する。(2)文献検討からACPに関連した情報を共有するためのツールおよび運用モデルについて、試案を作成する。(3)情報共有ツールおよび運用モデル試案洗練のため、慢性心不全をもちながら地域で暮らす人々および訪問看護ステーション看護師などにインタビューを行う研究(9月~)に向けた研究倫理審査を受ける準備を行う。(4)試案が完成した段階で、一度成果をまとめて日本看護科学学会等で発表し、広く意見をいただく。 2021年9月~2021年3月 :(1)必要な研究倫理審査を受けた後、研究参加者を募り、順次研究的なインタビューを開始する。(2)研究参加者は、患者10名程度、地域で活躍する看護師5名程度とし、30分~60分程度のインタビューを行う。(3)インタビューデータの分析は、研究会メンバーで行う。インタビュー内容の分析、情報共有シートとの照らし合わせおよび洗練を循環的に行う。(4)情報共有ツール案および運用モデル試案を完成させる。 2022年以降は、当初から予定していた急性期病院内での運用について、病院所属のメンバーの協力を得て進める予定である。
|
Causes of Carryover |
COVOD-19感染拡大の影響で、予定していた研究プロセスを進めることが困難となった。そのため、研究計画を修正して、最終目的達成が可能な方法を検討した。それに伴い、予算執行計画を変更したため、大幅な差額が生じた。 次年度の使用計画の主な変更点は、旅費と物品費および謝礼の部分である。今年度は、情報ツールおよび運用モデル洗練にむけての関係者へのインタビューを実施する予定である。高齢者の参加者に対して遠隔でインタビューが行えるように、持ち運び用のPCが必要となるなど、物品の整備が必要である。参加を予定していた学会が遠隔開催となり旅費が削減できる。その分を関係者インタビューの人数を増やし、研究充実のために活用する。
|