2020 Fiscal Year Research-status Report
患者の視点を基盤とした天疱瘡・類天疱瘡患者の日常生活支援モデルの構築
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20K19078
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
種村 智香 武庫川女子大学, 看護学部, 助教 (60849529)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 天疱瘡・類天疱瘡 / 日常生活支援モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、天疱瘡・類天疱瘡患者が疾患の発症初期から治療過程において、症状や治療により受ける日常生活への影響と支援ニーズを明らかにし、日常生活支援モデルを構築することである。 2020年度はその第一段階として、天疱瘡・類天疱瘡患者を対象として半構造化面接を行う予定であった。しかしながら、covid-19の感染拡大状況により、ステロイドを主体とした免疫抑制剤を使用している当該患者への対面でのインタビュー調査は、感染リスクの観点から困難な状況であった。そこで、インタビュー調査の開始時期を延期し、2020年度は以下の2つの視点から文献検討を行った。 1つ目は、先行研究より天疱瘡・類天疱瘡患者の生活の質(Quality of Life:以下QOL)に影響を及ぼす要因の整理を行った。QOL尺度を用いた研究結果より、年齢や性別、疾患の重症度や痛みやかゆみなどの症状、粘膜症状の有無、精神面、経済面などのおもな要因が抽出された。2つ目は、天疱瘡・類天疱瘡友の会(患者会)の会報誌過去10年分より、日常生活における困りごとに関する内容の抽出を行った。これより、日々の皮膚ケアや口腔ケア、ステロイドの副作用、食事、仕事、治療に関する意思決定、医療者とのコミュニケーションなどの内容が抽出された。 これらをもとに、インタビューガイドを精錬し、次年度は計14名の対象者へのインタビューを実施し、日常生活支援モデル案の構築に向けてデータ収集と並行して分析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
covid-19の感染拡大状況により、対象者への対面でのインタビューが困難となった。そのため、当初計画していたインタビューの時期を延期し、先行研究および患者会の会報誌の内容をもとに、研究計画の内容を再度吟味するとともに、より詳細な内容のインタビューガイドを作成した。また、万が一、今後インタビュー調査が行えなかった場合を考え、自己免疫性水疱症(天疱瘡・類天疱瘡)の疾患特異的QOL尺度を用いた量的な研究方法についても追加で検討した。この尺度の使用については、原案作成者および日本語版作成者に使用の許可を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビュー調査(データ収集)と同時に分析を進めていき、2021年7月末頃には研究協力の同意を得ている14名の対象者へのインタビューを終了する予定である。対象者から語られた質的なデータをもとに分析を進め、天疱瘡・類天疱瘡患者の日常生活支援モデル案を作成する。その後、天疱瘡・類天疱瘡を専門とする医療従者に協力を得て、日常生活支援モデル案を精錬していく。
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Causes of Carryover |
covid-19の感染拡大状況により、研究自体の開始時期が遅れたことや、学会参加のための旅費が不要となったために次年度の使用額が生じた。2021年4月に質的データ分析ソフトNVivoを購入し分析を進め、日常生活支援モデルの構築を目指す。
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