2021 Fiscal Year Research-status Report
在宅で補助人工心臓を装着する終末期心不全患者と介護者の支援モデルの構築
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20K19104
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Research Institution | Okinawa Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
永野 佳世 沖縄県立看護大学, 看護学部, 研究員 (90709510)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 植込型補助人工心臓 / 長期在宅治療 / shared care |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度も、COVID-19によるパンデミックは継続しており、植込み型補助人工心臓(以下、i-VAD)患者と介護者への調査について、地域を九州・沖縄地区に限定し感染状況をみながら計画、実施を試みた。 九州・沖縄地区でi-VAD実施施設、管理施設となる12施設と、沖縄県内で在宅i-VAD患者を看護している訪問看護ステーション4施設へ質問紙調査を実施した。調査内容はi-VADケア経験とケア内容、Destination Therapy(以下、DT)患者のケア経験とDT患者へ意識的に行っているケアについて、さらに、今後i-VADのDT支援で必要と考えることについて聞いた。調査は2021年11月~2022年1月に実施し、合計80人を対象とした。質問紙の回収数36、回収率45%、有効回答率は100%であった。これまでにDTの支援経験者は6人(16%)で、DT患者や介護者へのメンタルヘルスの支援に注意していると回答した。DT患者と介護者への在宅支援システムの構築について、病院と在宅、相互の定期的なカンファレンスの開催や、TV会議システムによるタイムリーな情報共有などshared careの強化が必要と示された。さらに、長期の在宅治療になり、介護者支援の必要性や、介護施設との連携の課題も認識されていた。 日本においてDTは2021年5月から保険償還が開始され、今後地方都市圏でも増加していくと予想される。最後の時までi-VADとともに生きることを選択した患者と介護者への支援体制について、急性期医療と在宅医療、都市と地方の医療施設におけるshared care の強化が重要な今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
継続するCOVID-19パンデミックと、本邦各地での感染状況に時差や地域差も生じており、本邦全体での調査は困難を極め、九州沖縄地区というブロック単位で調査実施を試みた。医療体制の逼迫や、患者の安全を考慮して、対患者や介護者への調査は感染リスクも上昇させるためひとまず延期とした。先だって医療従事者を対象とした質問紙調査やWEB会議を用いたカンファレンスの開催準備を令和3年度は実施している。よって、当初計画していた研究計画からは変更と遅れてが生じている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、医療逼迫状況と感染状況をみながら、在宅でi-VADを装着し治療を続ける患者と介護者を支援している看護師に対するインタビュー調査と、在宅療養中のi-VAD患者と介護者へのライフラインメソッドを用いたインタビュー調査を実施していく。DT-VAD患者は令和4年4月現在、九州沖縄地区においては数名と極わずかであり、インタビュー調査の実施が困難である。よって、実質DTと言われる合併症や加齢により、移植を見据えられない状態で長期在宅治療に及んでいるi-VAD患者を対象とする。
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Causes of Carryover |
令和3年度に予定していたVAD患者や介護者、医療従事者へのインタビュー調査が行えておらず、謝金や旅費に関する費目が使用できていないため、次年度に使用額が生じている。 COVID-19の感染状況をみながら、令和4年度に患者や介護者、医療従事者へのインタビュー調査を実施していく。また、令和3年度の質問紙調査内容について、国際学会での発表も予定しており、そこで研究費の使用が必要となるため計画に組み込む。
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