2021 Fiscal Year Research-status Report
特発性肺線維症をもつ生活者の尊厳に着目した看護師育成プログラムの開発と混合型評価
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20K19112
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Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
猪飼 やす子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 助教 (10862013)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 特発性肺線維症 / 尊厳 / 呼吸器看護 / 慢性看護学 / 成人教育 / 看護教育 / 特発性間質性肺炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.特発性肺線維症をもつ生活者への看護実践の教育ニーズに関する調査の解析 昨年度実施した質問紙調査の解析では、134件(回収率49.3%)を分析し、看護師育成プログラムに含む必要性の程度では、在宅医療機器と生活支援、呼吸法・呼吸リハビリテーション、意思決定支援、在宅療養支援等の9問で「大いに必要」と60%以上が回答した。療養者に関わった機会が多い群と少ない群との比較では、【薬物治療と開発】で有意差を認めた(p=0.03)。教育上の課題では、【教育できる人材がいない】が最も多く、自由記載では、学習機会が少なく、看護師育成の必要性が記述されていた。教育ニーズが明示でき、看護師育成プログラムへの示唆を得た。また、昨年度実施した医療専門職の育成に関する文献レビュー、および看護実践の実態と教育ニーズに関する質問紙調査の成果発表を国内外の学会にて行った。看護実践の実態と教育ニーズは論文を投稿し、査読中である。 2.特発性肺線維症をもつ生活者へのDignity-Centered Careを基盤とした看護師育成プログラムの教材の作成 看護実践の実態調査と教育ニーズに関する質問紙調査の結果から、看護師育成プログラムの構成と内容を検討できた。研究計画書では、集合研修による講義および演習の実施としていたが、新型コロナウイルス感染症による影響を鑑み、オンデマンドを用いる方法に計画を変更した。特発性肺線維症療養者へのDignity-Centered Careのフレームワークを作成し、プログラムの内容は診断時からエンドオブライフケアまで、主に外来での看護とし、3章19コンテンツの動画教材からなる特発性肺線維症をもつ生活者へのDignity-Centered Careを基盤とした看護師育成プログラムの教材を作成できた。また、本プログラムの評価方法については、看護実践項目や自己効力感の変化などを検討できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、慢性呼吸器疾患看護認定看護師、および慢性疾患看護専門看護師(サブスペシャリティ:呼吸器疾患)を対象に、昨年度実施した特発性肺線維症をもつ生活者への教育ニーズに関する質問紙調査を解析することができた。解析により、教育ニーズの明示ができ、看護師育成プログラムの構成と内容の検討に活かすことができた。明示した教育ニーズをもとに、特発性肺線維症をもつ生活者へのDignity-Centered Careを基盤とした看護師育成プログラムの教材を作成することができ、また、看護師育成プログラムの評価方法について、検討をすすめることができた。以上により、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度であり、作成した特発性肺線維症をもつ生活者へのDignity-Centered Careを基盤とした看護師育成プログラムを、慢性疾患看護専門看護師(サブスペシャリティ:呼吸器疾患)、もしくは慢性呼吸器疾患看護/呼吸器疾患看護認定看護師を対象に参加者を募り、看護師育成プログラムを受講する群(受講群)と、受講しない群(未受講群)に割り付け、看護実践項目や自己効力感などの尺度を用いた調査を、介入の前後とその1ヶ月後に実施する。プログラムの評価は、混合研究法の説明順次的デザインを用い、量的データはランダム化比較試験、質的データは、サンプリング基準を満たした3人にインタビューガイドを用いた半構造化面接によりデータ収集を行い、量的データと質的データを統合しメタ推論の実施により、本看護師育成プログラムが、特発性肺線維症療養者への看護実践項目の増加や、看護師のケアの質の向上等に貢献できるのかを評価する。研究成果は、日本看護科学学会等で発表する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症により、学会がオンライン開催に変更となり、旅費が発生しなかった。また、論文の査読審査が長期間継続しており、論文掲載料に関する支払いが生じなかった。最終年度では、看護師育成プログラムの実施方法を対面での集合教育からオンデマンド教材に変更するため、遠隔教育におけるサーバー使用料や、保守・管理等の運営費用として使用予定である。また、論文掲載料、ならびに英文校正費用として使用予定である。
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