2023 Fiscal Year Research-status Report
地域生活を送る精神疾患患者の心理的災害耐性を高める防災・発災時手帳の作成
Project/Area Number |
20K19114
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
小川 賀惠 東京医療保健大学, 看護学部, 講師 (30848693)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地域生活 / 精神障害者 / 訪問看護 / 災害耐性 / 災害対策 / レジリエンス / 防災意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の第一研究の目的は、地域生活を送る精神障害者と訪問看護師に対し防災意識および災害対策の実態を調査し、災害対策や発災時の対応の課題を明確にすることである。その結果を踏まえ第二研究として、精神障害者の災害耐性を高め、発災時に自己の精神的健康状態を医療者や救援スタッフに正確に伝え、発災時に医療者からの適切な医療提供を受けることを可能とする精神障害者用の防災・発災手帳を開発することを目的としている。 本年度は、地域で生活する精神障害者の支援を行っている訪問看護師の災害対策支援の実態と関連要因を明らかにするため、全国500か所の訪問看護ステーションに勤務している看護師に対する質問紙調査の結果を分析し、第43回日本看護科学学会にて発表した。 分析の結果から、災害対策支援に困難感を抱いている看護師が多く、訪問時に災害対策支援を実施している看護師は少ないことが明らかになった。災害対策支援を行っていない理由として、有効なツールが見当たらず、支援方法がわからないことや、業務や症状管理の優先度が高く、災害対策まで手が回らないといったことが挙げられた。また、災害対策支援を試みても、患者の不安の高まりや拒否が支援の阻害要因となっていることが推察された。 これらのことから、看護師と利用者双方に平時から取り組みやすく、負担感の少ないツールを開発することが有効であると考えられた。 促進要因としては、訪問看護師歴の長さと支援に関連がみられ、利用者と共に生活を考えていく中で災害対策を行うことにつながっていると推察された。 さらに、自ら災害対策を行っている看護師の方が災害対策支援を行っていることから、まずは看護師が自らの災害対策を行うことで、生活の中で気軽に取り組める工夫や継続できる知恵が身につき、患者への災害対策にも生かされ、支援が促進される可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究協力が得られにくいことから、地域で生活する精神障害者への調査が計画通り進んでいない。今後は、研究協力を依頼する範囲を更に広げていくことが必要であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
地域で生活する精神障害者の防災意識および災害対策の実態を調査するために、当初は量的調査を計画していたが、質的調査についても検討をすすめていく。 また、実態を明らかにしてから精神障害者用の防災・発災手帳を開発することを計画していたが、手帳を開発した後に、使用感や効果の検討をすることも視野に計画を修正していく。
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Causes of Carryover |
地域で生活する精神障害者の実態調査が計画通り進まず、量的研究に関する費用および、研究結果を基に作成する精神障害者用の防災・発災手帳を開発に係る費用が次年度使用額に反映されている。今年度は、地域で生活する精神障害者の実態調査を実現可能な計画に修正しながら実施し、防災・発災手帳の開発を行う予定である。
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Research Products
(1 results)