2020 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病足病変患者の入院時における看護実践モデル構築に向けた基盤研究
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20K19117
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Research Institution | The Japanese Red Cross Toyota College of Nursing |
Principal Investigator |
栩川 綾子 (牧村綾子) 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 講師 (70465582)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 糖尿病足病変 / 現象学的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、糖尿病足病変(以下「足病変」とする)患者を看護する看護師の入院時の看護実践を、参与観察と非構造化面接で現象学的に明らかにすることである。 本研究の実施に向けて、文献検討を起こない、現象学的研究の分析能力向上に向け研究会に継続的に参加した。また、本研究を考案するきっかけになった博士論文を投稿した。さらに、足病変患者の医療の状況を臨床実践者から情報収集をして、現場の把握に努めた。足病変患者の看護の現状として、患者は入院治療しているが、足病変の処置を自己で管理できるようにも支援していた。足病変患者の看護の視点に、自己処置に向けた患者の能力判断と、足の状況に応じた処置方法を考えた実践が必要になっており、現状に即した看護を発展させるための新たな視点であることが明確になった。初年度は、研究の実施に向けた基盤づくりをおこなった。本年度の成果は、以下である。 論文の投稿:看護師が足病変患者を看護する場に参与観察をし、現象学的に分析を行い、看護師がいかに患者と関係を成り立たせているのかを明らかにした。看護師は自身の知覚を契機にし、関係を展開していた。身体で患者と交流した看護師の知覚には、看護の方向性が含まれていた。看護の実践は、患者の情報を収集し分析するというような科学的な思考だけで成り立っているのではなく、患者との相互性から生起する知覚が鍵になっている可能性が示唆された。看護実践において、看護師の知覚を捉えていく必要があり、本研究を行う際の有用な視点を明確にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19感染拡大により、協力施設となる病院では、研究目的であっても部外者が入れる状況ではなかった。そのため、当初計画していた病院研修が行えず、実践家から話を聞くことで情報収集することに変更した。看護実践は、看護師と患者との身体交流で生起する知覚が契機になっていることが先行研究から明らかになっているため、患者と看護師が関わり合う現場での参与観察でデータを収集する予定であった。COVID-19感染拡大の状況によっては、研究協力者の負担と患者の安全に配慮したデータ収集方法を再考する必要性がある。 研究を行うにあたり、調査現場に行くことができない状況が起こったため、予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19感染拡大の状況において、データ収集の再考が必要になっている。研究を行うにあたり、研究参加者となる看護師、さらに参加者が看護する入院足病変患者の負担と安全への配慮をしなくてはならない。また、研究開始時期は、感染状況に応じて変更が必要である。まず、協力施設における研究をコーディネーターと連携を取り、感染予防に配慮した研究実施方法とその体制を整える。参与観察が不可能な場合は、個別面接で代替することにする。研究協力施設と研究への体制が整い次第、研究者の所属施設と研究協力施設への倫理審査を受ける。倫理審査の承認後、データ収集を開始し、同時にデータ分析も開始する。データ分析においては、研究会等で発表することで、分析の精度を高めていく。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、研修等で調査機関に訪問することができず、また研究会もオンラインで開催されるようになり、交通費の支出が当初予定していたほど発生しなかった。感染状況により、学会参加や調査機関へ訪問可能になった際の交通費へあてていく。
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