2020 Fiscal Year Research-status Report
入院期間が3ヶ月以上1年未満の統合失調症圏の患者の家族への支援に関する調査研究
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20K19118
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
吉永 愛香 摂南大学, 看護学部, 助教 (60837524)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 家族 / 精神科病棟看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は本研究の目的の1つである「支援内容の明確化」に向け、文献検討、調査のためのヒアリングを行った。 まず精神障害者の家族への支援内容について文献収集・検討を行った。支援内容は多岐に渡るため、看護師から家族への直接的な支援について着目した。文献検討の結果、【家族のエンパワメント】【家族と患者の場の共有の促し】【疾患・治療・かかわりに関する家族への十分な説明】などの複数の構成要素と、それらに属する具体的な支援内容(「家族による患者への対応がうまくいっていることの評価を家族に伝える」「家族からみた患者の様子を聞く」「面会中の患者と家族間の交流を促す」「日常生活で患者が困っている症状を、具体的に家族に説明する」等)が抽出された。 次に、調査のためのヒアリングを計画に追加して実施した。計画立案当初はインタビュー調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を鑑み、インタビュー調査を保留とした。一方、病棟に訪れる家族の状況が大きく変化している可能性が高いため、現在精神科病棟に従事している看護師から電子媒体上でヒアリングを行った。その結果、現在、家族の面会や病棟エリアへの立ち入りを禁止とし、荷物のみ受付でやりとりをする等の対応を複数の精神科病院が行っていた。精神科病院でのクラスターの発生など、感染症に対する対応の難しさから家族の来院を制限せざるを得ない状況が推察された。一方、年度末頃からオンラインでの面会を導入する病院が散見されるなど、総じて、新型コロナウイルス感染拡大が支援の実施状況に大きく変化を与える可能性が推察された。 これらの状況から、本研究 をどのような状況・支援に着目するのかを再検討する必要性が考えられた。また次年度以降、文献検討やヒアリングを継続すると共に、全国的な精神科病院の家族への対応等について情報収集を行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、研究に投じるエフォートが十分に確保できなかったことから、研究計画の遂行に遅れが生じた。 加えて、全国的な新型コロナウイルス感染拡大、精神科病院でのクラスターの発生などにより、インタビューや研究依頼が困難になると共に、面会等の家族の来院禁止が解除されていないため、家族への支援を取り巻く状況が研究立案時と変化している可能性があり、研究計画の見直し・一時保留が必要であった。従って進捗状況としては遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、最終的にインタビューを実施するかについて感染状況や家族の来院状況等から検討し、可能であれば実施した上で文献検討の結果との統合を目指す。できるだけ早期にインタビュー内容ないし先行研究の結果をまとめる。新型コロナウイルスの感染拡大状況により、家族が精神科病棟へ赴く機会が難しい状況が続く場合は、計画を後ろ倒すか着目する支援の再検討等を行い、研究の遂行に努めるが、今後も計画に遅れが生じることが予測される。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、研究に投じるエフォートが十分に確保できなかったこと、感染拡大が研究依頼や研究テーマに影響を受け、研究計画全体に遅れが生じている。 次年度以降はオンラインでの研究計画遂行を目指した機器の購入を追加する。また、今年度購入予定としていたインタビュー分析に関するソフト等について、インタビューを実施する運びとなれば次年度に購入する。
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