2023 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症における病識の背景要因の解明および要因に基づく新しい治療戦略の構築
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20K19119
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
小川 泰弘 森ノ宮医療大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (80868737)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 病識 / 統合失調症 / 防衛機制 / QOL |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症における病識の理解は臨床的に重要なパラドクスを含んでいる。統合失調症患者の病識低下は、再発率の増加や社会機能の低下と関連が見られる一方で、高い病識が患者のQOL(生活の質)を低下させ、自殺リスクを高めることが報告されている。これにより、病識の向上が患者にとって常に有益であるかどうかは確定していない。この複雑な背景を解明し、患者に適切な支援を提供することは重要な課題である。本研究は、統合失調症における病識を通じて防御機制がQOLにどのように影響するかを明らかにし、洞察が高まることでQOLが低下するというパラドクスへの理を目的としている。 対象者は、地域在住の統合失調症患者30名である。この研究では、病識、QOL、防御機制を測定するために、Markova Insight Scale(IS)、The Japanese version of the Schizophrenia Quality of Life Scale(JSQLS)、The Defense Style Questionnaire(DSQ)を用いた。媒介分析を用いて、これらの変数間の関係を分析したところ、病識と防御機制がQOLを低下させることが有意に予測されることが示された。さらに、病気への洞察が未熟な防御とQOLの関係を仲介するという仮説が支持された。これらの発見は、病気への洞察が増加すると観察されるQOLの低下において未熟な防御機制が重要な役割を果たしていることを示唆している。これらの仮説を検証するためには、より大きく、縦断的なサンプルを用いたさらなる研究が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたデータ数に達しておらず、新たにデータ収集が可能な研究協力施設を探している。現在追加で2施設の研究協力を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の延長申請を行ない、令和6年度までの延長が許可された。今後は予定数までデータ収集を行い、解析を行う。現在追加で2施設の研究協力の許可を得ている状況である。
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Causes of Carryover |
令和5年度はさらにデータ収集を行う予定であったが、当初予定していたデータ数に達しておらず令和6年度の延長申請を行なった。このため、令和6年度で当初のデータ数を収集、解析を行い、学会発表と論文化を進める予定である。次年度の使用額はこれらの費用に充てる。
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