2020 Fiscal Year Research-status Report
心身症児の親のストレッサーとサポートに関する基礎的研究:支援モデルの構築に向けて
Project/Area Number |
20K19129
|
Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
森川 夏乃 愛知県立大学, 教育福祉学部, 講師 (70757252)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 心身症 / 親 / ストレッサー / 尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、心身症児の親のストレッサー尺度を作成し、特有のストレス構造を明らかにすることを目的とした。心身症の子どもを持つ親100人、疾患や障害を持たない子どもの親100人に対してアンケート調査を実施した。その結果、疾患や障害を持たない子どもの親と比較すると、心身症児の親は、抑うつ感や不安、無気力感が有意に高いことが示された。また、心身症児の親のストレッサー尺度を独自に作成し、因子分析を行ったところ、(1)子どもへの関わり方の不安、(2)自身の生活の制限、(3)学校との連携の困難さ、(4)子どもの受容の難しさ、(5)周囲からの無理解という5因子が見いだされた。これら5因子はいずれも、抑うつ感や不安、無気力感と中程度の正の相関が示された。加えて、疾患や障害を持たない子どもの親との比較を行ったところ、5因子すべてにおいて、心身症児の親は有意に高いことが示された。 今年度の結果から、心身症児の親は、疾患や障害を持たない子どもの親に比べ、子育てにおいてストレッサーをより感じており、ストレス反応もより示していることが明らかにされた。心身症児の親特有のストレッサーとしては、家族内での対応に関すること(子どもへの関わりの不安、生活の制限、受容の難しさ)に加え、学校との連携、さらに社会的な理解といった多岐にわたるものであり、わかりにくさを有する疾患の子どもの親ゆえの大変さがうかがえた。 心身症の子どもの治療や支援においては、子どもだけでなく、心身症児の親に対しても同時にケアを行う必要があると考えられる。また、学校との連携や周囲の無理解というストレッサーに対しては、社会的な理解を促していくことも必要であると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り調査を実施し、心身症児の親のストレッサー尺度の作成と特有のストレス構造を明らかにするという目的を達成することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、心身症児の親に対して調査を実施し、ストレッサーと関連する心理社会的要因を明らかにする。2020年度の結果より、心身症児の親のストレッサーは、子どもへの関わりや受容、生活の制限といった家族システム内でのものから、学校との連携といった学校―家庭システムのもの、そして周囲からの理解といった社会システムのものまで、階層的に見られた。したがって、ストレッサーに作用する要因も多岐にわたることが推察される。そこで2021年度は、ストレッサーと関連する心理社会的要因を明らかにし、こうした要因がどのように関連しストレッサーに作用し、ストレス反応につながっているのかモデルを示す。
|
Causes of Carryover |
感染症の拡大により、学会への参加及び調査にかかる出張がなかったため、旅費の使用がなかった。また、オンライン調査によりすべての調査を実施したため、謝金等が不要となった。翌年度へ繰越しすことで2021年度に使用できる助成金額が増え余裕があるとから、全国の家族会へ調査を依頼する、調査会社への被験者の依頼規模を増やすなど、規模を拡大し調査を実施する。調査規模を拡大しサンプル数が増えることで、より安定的な結果が見込める。
|
Research Products
(1 results)