2022 Fiscal Year Research-status Report
心身症児の親のストレッサーとサポートに関する基礎的研究:支援モデルの構築に向けて
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20K19129
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
森川 夏乃 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (70757252)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 身体症状 / 家族 / 養育行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、子どもの症状と親の養育行動がどのように関連し合うかを検討するために、継時的に子どもの身体症状や精神症状、行動上の問題および親の養育行動について質問紙調査を実施した。 インターネット調査会社を通して、中学生から高校生の子どもを持つ母親の調査協力者を募集し、4か月間隔で3回のアンケートの回答を求める。第1回調査(T1)は2022年10月に実施し3000名からの回答を得た。第2回調査(T2)は2023年2月に実施し、1600名からの回答を得た。その後、第3回調査(T3)を2023年6月に実施する予定である。 T1のデータより、身体症状は肯定的な養育行動と負の関連、否定的な養育行動と正の関連が見られた。加えて、肯定的な養育行動が高い場合には、身体症状の有無によって自傷行為や破壊行動、家族への暴力は変化しないが、低い場合にはそれらが増加することが示された。 またT1とT2のデータを用いて、身体症状や行動上の問題と養育行動との関連について検討した結果、T1での身体症状よりもむしろ、T1での自傷行為や破壊行動、家族への暴力といった行動上の問題が、T2での養育行動を説明していた。T1での行動上の問題の増加は、T2での否定的な養育行動を増加させ、肯定的な養育行動を減少させることが示された。 ここまでの結果から、身体症状そのものよりも、付随する行動上の問題によって否定的な養育行動が生じ、またそれによって身体症状や行動上の問題が維持されやすくなることが推察される。したがって、身体症状を呈する子どもに対して、付随する行動上の問題も視野に入れた家族支援の必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子どもの身体症状と家族の関わりとの関連を明らかにするために、2022年度から2023年度にかけ縦断調査を実施中である。調査は滞りなく進行していることから、「おおむね順調に進展している」。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年6月に3回目の調査を実施し、その後速やかに分析を行い、調査結果をまとめる。約8カ月間の調査結果から、子どもの身体症状と家族の関わりとの相互影響過程が明らかにされる。 また最終年度であることから、2020年度調査結果から明らかにされた家族のストレッサー、および2021年度調査結果から明らかにされたストレッサー関連要因を踏まえ、心身症の子どもを持つ家族の支援ニーズについて総括を行う。
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Causes of Carryover |
申請時には旅費を計上していたが、コロナ禍でオンライン化したことにより旅費が不要となった。この費用を調査費用に充てたことで、申請時と異なる計算となった。 未使用額は継続中の調査費用として、2023年度に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)