2021 Fiscal Year Research-status Report
痛覚神経刺激誘発電位および皮質間結合に着目した新生児の疼痛評価指標の開発
Project/Area Number |
20K19132
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
城下 由衣 広島大学, 医系科学研究科(保), 助教 (70865625)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 新生児 / かかと穿刺 / 事象関連電位 / 疼痛評価指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新生児のかかと穿刺採血に伴う疼痛を、痛覚神経刺激誘発電位および皮質間結合(侵害受容刺激に応答する大脳皮質領域間のネットワーク)により定量評価することである。 2020年度、予備的研究として、健康成人に対し、新生児のかかと穿刺採血と同様の穿刺器具を用いて皮膚穿刺を行い、皮膚穿刺による穿刺刺激に誘発される事象関連電位(皮膚穿刺ERP)が、疼痛の客観的評価を行うためのパラメーターとして有効かどうかを検証した。その結果、皮膚穿刺ERPは、穿刺器具のブレードの皮膚進入時に動員された圧力情報(つまり触覚刺激によるAβ神経線維の興奮)を含むことが示唆され、皮膚穿刺ERPは、疼痛を客観的に評価するためのパラメーターとして適切でない可能性が示された。 2021年度、さらに、かかと穿刺に用いられるデバイスから発せられるクリック音による皮膚穿刺ERPへの影響を検討した。その結果、クリック音により、皮膚穿刺ERPのN2潜時が短縮していることを確認した。したがって、皮膚穿刺ERPは、穿刺の際の触圧覚に加え、クリック音の成分を含むことが明らかとなり(Shiroshita et al. 2021)、皮膚穿刺ERPが、疼痛評価として適切でない可能性が再確認された。 今後は、ガンマ律動や皮質間結合に着目し、皮膚穿刺刺激時のガンマ律動や皮質間結合が、侵害受容処理を反映しているかどうかを、健康成人および新生児で検証する予定である。本研究成果は、将来的に疼痛緩和法の確立、低侵害受容機器の開発を推進し、新生児のみならず、頻回な採血や自己採血を行う多くの患者へも適用可能であり、極めて臨床的な研究意義が大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
かかと穿刺に用いられるデバイスから発せられるクリック音による皮膚穿刺ERPへの影響について、追加実験を行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、新生児のかかと穿刺採血に伴う疼痛を客観的に定量評価することを目指している。 研究グループは、健康成人において、皮膚穿刺による穿刺刺激に誘発される事象関連電位(皮膚穿刺ERP)が、疼痛の客観的評価を行うためのパラメーターとして有効かどうかを検証した。その結果、皮膚穿刺ERPは、穿刺器具のブレードの皮膚進入時に動員された圧力情報(つまり触覚刺激によるAβ神経線維の興奮)に加え、クリック音の聴覚刺激成分を含むことが示唆され、皮膚穿刺ERPは、疼痛を客観的に評価するためのパラメーターとして適切でない可能性が示された。今後は、ガンマ律動や皮質間結合に着目し、皮膚穿刺刺激時のガンマ律動や皮質間結合が、侵害受容処理を反映しているかどうかを、健康成人および新生児で検証する予定である。
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Causes of Carryover |
令和3年度に追加実験を行い、当初の予定より研究の遅れが生じているため、未使用額が生じた。新たに、ガンマ律動により、新生児の疼痛を評価できる可能性が出てきたため、未使用額は、ガンマ律動による疼痛評価のレビューや、時間周波数解析を行うための経費としたい。
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